日本政策金融公庫によると、女性起業家向けの融資の利用件数は、2012年度3226件で前年より21%も増加。政府の成長戦略にも女性の起業支援が盛り込まれるなど、日本をあげて“女性ならではの視点”が注目されている。
自宅の一室を使ったアロマルームは、優しいピンクが基調の女性らしい雰囲気。数多くの固定客を抱える人気サロンとして成長させたのは、ハイダウェイアロマ代表の古川圭子さん(58才)。
古川さんは、アロマの店を開業しようと猛勉強を開始。会社も退職した。夫を病気で亡くした古川さんに、上司や親せきは“一家の大黒柱なのに”と猛反対したが、意志を貫いた。
40才でアロマセラピストの国際資格・英国ITEC認定を受け、開業。吉祥寺駅前の家賃8万円、10畳ほどのワンルームでの出発だった。
「でも当時、アロマは知られておらず、はじめは閑古鳥。赤字続きでした。そこで集客のために、思い切ってタウン誌に広告を出すと、徐々にお客が増えました」(古川さん・以下「」内同)
幸運だったのは、料理研究家の故・小林カツ代さん(享年76)が常連客として訪れてくれたことだった。
「ある雑誌で“こんなにリラックスできる場所はない”とうちの店を紹介してくれ、それで一気に忙しくなったんです」
現在は、アロマを行う傍ら、子育てをする母親たちの支援活動や講演会の開催なども。
「収入は会社員の時より減ったけど、毎日、誰かのための“癒し”ができる時間は何にも変えがたいです」
古川さんはこれから起業を目指す人へこうアドバイスする。
「“今は忙しいし、落ち着いたら起業しよう”なんて思っていても、条件が全部そろうときは永遠にこない。できない人は、年齢やお金など、“できない理由”から考えてしまう。起業って、計画も大事だけれど、思いがいちばん。条件が整っていなくても、走り始めたら意外となんとかなるものです」
※女性セブン2014年5月8・15日号