23年ぶりの優勝も口にされ始めたほどの広島カープの快進撃。安定感抜群の投手陣に加えて打撃陣も頼もしい。2215試合連続出場の記録で国民栄誉賞の鉄人・衣笠祥雄氏(元広島)は、かつてのカープ打線を重ねてこういう。
「僕の入団当時はチームが低迷していて、寂しい思いをしたもんです。だけど1970年頃から僕の他にミム(三村敏之)、水谷実雄、コージ(山本浩二)、水沼四郎の5人が固定されるようになって、1975年の初優勝を実現した。今のカープも昨年からやっと、そんな感じが出てきましたね。今年はエルドレッドが4番に座り、打線に芯ができたし、これで菊池涼介、丸佳浩、堂林翔太らがシーズンを通して固定できれば、申し分のない打線になると思います」
ただ、もちろん不安材料がないわけではない。昨年はチーム全体で3桁に及んだエラーの多さや、リーグ最下位の打率など、改善点は複数ある。エース・マエケンの右ヒジ痛も心配の種だ。しかしそんな状況を、「ズバリ当たる監督采配がカバーしている」と語るのは、巨人キラーで知られた安仁屋宗八氏(元広島・119勝)である。
「昨年のCSで阪神を破ったことで、一番自信をつけたのは、選手よりも野村謙二郎監督だろうね。打線をコロコロ変えるので“日替わりメニュー”などと揶揄されているが、これが今はピタリ的中している。最後に責任をとるのは監督だから、思い通りにやればいいんですよ」
※週刊ポスト2014年5月9・16日号