今年も春の受勲の大受賞勲章親授式が執り行なわれた。“勲章”といえば、功なり名を遂げ、栄華を極めた大物政治家や財界のトップが辿りつく最高の誉れだが、そもそも日本初の勲章は、1867年に開催されたパリ万博に参加した薩摩使節団がフランス政府高官に進呈した「薩摩琉球国勲章」である。
万博参加に際して、開幕10日後にパリに到着した幕府使節団に対し、幕府と対立関係にあった薩摩藩はその2か月前にパリに入った。しかも、「薩摩太守政府」として万博会場にスペースを確保、あたかも独立国であるかのごとくアピールした。
「薩摩琉球国勲章」は外交術の戦略で、フランスのレジオン・ドヌール勲章を参考にパリでつくられた。これを知った幕府も帰国後に勲章創設を進めたものの、大政奉還により幻に終わった。
※週刊ポスト2014年5月23日号