体調不良のため、ポール・マッカートニーの来日公演が全てキャンセルになった。楽しみに会場の国立競技場を訪れて中止を知り、そのまま飲みに流れた「ポール難民」が街に溢れた。作家で人材コンサルタントの常見陽平氏もそのひとりだった。
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ポール・マッカトニーの来日公演が、体調不良によりすべてキャンセルになりました。いやはや、残念ですが、ポールの体調も心配です。私は5月18日(日)の公演に行く予定でした。開始1時間前の16時半頃に、会場の国立競技場近くの信濃町駅に着いた時に、駅のアナウンスで中止の事実を知りました。なんとも言えない心境になり、一緒に行った先輩と飲み歩きました。
公演のキャンセルにより30億円もの払い戻しが行われるとか、韓国で予定されていた公演も中止になるとか……。とはいえ、ポールの健康が心配です。現在、都内の病院に入院中との報道がありましたが、なんせ71歳の高齢なので、無理しないで欲しいです。
今回は、そもそもアーチストの来日公演には、トラブルはつきものだ、という話をしたいと思います。
よくビートルズ派、ストーンズ派なる言葉があり、両方好きな私は戸惑ってしまうわけですが……。実は、ローリング・ストーンズのミック・ジャガーも来日公演の際に、健康上の理由でライブをキャンセルにしているんですよ。今回のポールの場合、中止のアナウンスが当日のライブ開始前であり、あまりに突然で、遠方からきたファンなどは困ったわけですが、実は、ミックも同様に、ライブ開始直前にキャンセルをしているんです。
シンコーミュージックが2001年9月に発行したムック『音楽生活 VOL.6』によると、ミックは1988年のソロツアーの際に、3月19日に大阪城ホールでライブをする予定でした。普通に開場し、ファンが座席につく中、なんとなく変な空気が漂っていたとか。すると、開演時間前に主催者側から「ミックの体調が思わしくないので今日の公演は中止です」とアナウンスが。ポール以上に、開始寸前の中止だったのです。
しかし、ここで、なんとミックが登場。サングラスにロングコートという姿で現れた彼は、低くハリのない声で自らコンサート中止を発表し、謝罪。ミックに直接謝られ、みんな、これには「しゃあないな」と思い、納得してしぶしぶ帰宅したとか。振替公演はあったそうですけどね。ビートルズ、ストーンズ、それぞれ来日公演で健康を理由にしたキャンセルがあったというわけですな。
まあ、洋楽アーチストの来日公演は様々なトラブルや、珍騒動があるものです。最近でいうと、昨年、初来日しハードロック/ヘビーメタルのフェスティバルであるLOUD PARKでトリを務める予定だったキング・ダイアモンドは、機材の到着遅れにより出演がキャンセルになり、話題になりました。イングヴェイ・マルムスティーンが繰り上げでトリになったのですよね。
他にも、エリック・クラプトンの初来日公演はみんなが「神」の演奏を期待して行ったところ、当時のクラプトンはレゲエなどにハマっており、終始アコースティックギターを抱えてゆるい演奏を行ったとか、デビッド・ボウイの東京ドーム公演は7割の入りで疲れたサラリーマンにしか見えなかったとか、ディープ・パープルの来日公演で暴動が起こったとか、レインボーの来日公演で観客の下敷きとなって女子大生が亡くなったとか、ガンズ・アンド・ローゼズの初来日公演が数十分で終わったとか・・・。笑える事件から笑えない事件まで、来日公演は色々なトラブルがありますな。