普段何気なく使っているコンビニは、実は徹底した戦略で作られている。『ビジュアル図解 コンビニのしくみ』(笠井清志著、同文館出版刊)を参考に解説する。
コンビニエンスストアは、地域住民にとって“便利”でなくては意味がない。コンビニの基礎となる商圏は、半径400m(徒歩5分)と考えられている。
「裏道が開通した」「裏の通りが拡幅した」といった1本の道路で人の流れは変わるので、出店にあたっては交通量も徹底調査する。
コンビニの立地タイプは、おおよそ「駅前立地」「住宅立地」「行楽立地」の3種類に分けられる。立地によって客層も変わるので、販売する商品の構成も変化する。
そんなコンビニだが、近くで“同じチェーン店”を見かけることも多い。これは、どのコンビニもとっている“ドミナント出店”という戦略のため。
あえて複数の店舗を近隣に出店させることで、消費者の“チェーンに対する認知度”を向上させ、競合チェーンの出店を抑制するという効果もある。特に、主要ターミナル駅の駅前や、交通量の多い2本の道路の交差点の角地などは重要な立地になる。
もうひとつのポイントが、効率的に配送するための物流網を構築できるということ。店舗間の距離が短く近いため、配送トラックが効率的に低コストで商品を配送できる。
基本的なコンビニは、売場面積が30~40坪、バックルームと呼ばれる事務所兼倉庫が約10坪の設定となっているタイプが多い。
店舗の壁沿いに主要な商品の展開を行い、客が外周の通路を周遊すると売れ筋商品を目にするよう配置されている。同時に、客単価を上げるために、動線を長くして店内を回遊させる必要がある。弁当やおにぎりを入り口からわざと遠い位置に置いたり、点在させるなどの工夫もしている。
また、商品棚(ゴンドラ)の横幅はたいてい約90cmだが、これは一般的な日本人の視界の幅に対応しており、前に立った際に商品を比較・検討しやすい工夫となっている。
※女性セブン2014年6月12日号