「はあちゅう」の愛称で知られるブロガーで作家の伊藤春香さんが、ネット上で起きているトピックを紹介。今回は、「命名権」の話題です。
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鳩サブレーで有名な老舗菓子会社「豊島屋」が地元の海水浴場の命名権を購入して、その権利を行使しなかったことがネット上で話題になりました。
「命名権」とは聞きなれない言葉かも知れませんが、東京スタジアム(東京・調布市)が味の素スタジアムになったことや、渋谷公会堂(東京・渋谷区)がC.C.レモンホール(すでに契約は失効し、現在は「渋谷公会堂」)になったことが代表的な事例で、企業や商品の認知度向上のため、施設や地名などに名前を付けられる権利です。つまり、街中の看板と同じように広告商品なんですね。
今回は年間1200万円で命名権を10年契約で購入した豊島屋が、「買ったものを使わない」という前代未聞の選択をしたことが、「かっこいい!」とネット上で大絶賛されました。
あまりに褒められているので私のようなひねくれ者は「そういう戦略だったんじゃないの?」とうがった見方をしてしまいましたが、「地元への恩返しをしたい」という社長のコメントに、素敵な取り計らいだと思い改めました。
これを大手の会社ではなく、地元に根付いている豊島屋さんがやるところがまた粋ですよね。
海水浴場はこれまで通り「材木座海水浴場」「由比ガ浜海水浴場」「腰越海水浴場」と呼ばれるとのこと。そして豊島屋が支払ったお金は、海の清掃や監視員の雇用に使われるそうです。
※女性セブン2014年6月19日号