激戦の南米予選を2位で通過したコロンビアは、グループリーグで日本が最後に対戦しなければならぬ強豪国だ。南米予選こそ、10チーム中最少の13失点(16試合)という安定した守備を見せたが、攻撃力の高い評価とは反対に、常に守備の弱さを指摘されてきた。
理由は不安定なセンターバック(CB)陣にある。
「ディフェンスを統率しているのはジェペスという選手ですが、すでに38歳とサッカー選手としてはかなり高齢。相手のスピードに対応しきれなくなってきています」(サッカージャーナリストの西部謙司氏)
ジェペスとコンビを組むサパタは27歳だが、判断が悪く、プレーに安定感がない。最終ラインは、ここぞという時に不安を露呈しそうだ。
コロンビアの得意な攻め方は、基本形の4-4-2からボールポゼッション(支配率)を高めた上でサイドバック(SB)も積極的に上がる前がかりの戦術だが、ボールを保持して前線からプレッシャーをかけるのは、最後尾に不安を抱えていることの裏返しといえる。
相手陣内でボールを取られると、2-2-4-2のような陣形で高い位置でのプレスをかける傾向にある。「積極的な守備」というより、何が不安要素なのかを自分たちがよく知っているからこそ、前がかりになっているのだ。
本来は最後尾での守備を担うべきSBが高い位置を好むため、事実上、自陣は「不安なCB」に任せることになってしまう。実際、コロンビアの負け試合では、上がってしまったSBの後ろの空いたスペースに相手からボールが放り込まれ、ディフェンス陣が対応しきれないまま失点に繋がるケースがよくみられる。
今大会初戦となったギリシャ戦でも、このパターンで何度も危ない場面を作られている。その中に、日本代表がコロンビアに勝つヒントとなる重要なプレーがあった。
前半7分、ガラ空きになったコロンビアの右サイドをギリシャのMFサマラスが切り裂き、センタリングを上げてコネがシュート(枠の少し右に外れる)。コネは前半終了間際にも強烈なシュートを放ってゴールを脅かすが、これはコロンビアの左サイドの崩しから始まった攻撃だった。
そして後半18分、トロシディスの折り返しから、ゲカスが放ったヘディングシュートだ。ジェペスとサパタはゲカスへのパスに対応しきれず、ギリシャに決定的な得点チャンスを許してしまう。シュートがクロスバーを直撃したのが幸いだった。
点こそ入らなかったものの、攻撃力に乏しいといわれていたギリシャですら、ここまでコロンビアを追い詰めているのだ。日本であれば付け入る隙は十分にある。
※週刊ポスト2014年7月4日号