ペットの悪癖に悩まされる飼い主は多い。たとえば、犬の噛み癖のために大事なバッグが歯型だらけになって、途方に暮れることも。Can! Do! Pet Dog Schoolで科学的な理論に基づく犬のしつけを指導する西川文二氏が、犬の甘噛みのしつけ方について解説する。
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甘噛み。コレ、多くの飼い主が悩まされる。犬ってのは生後3週齢頃から歯がはえ初め、4か月齢頃に抜け替わりが始まり、6~8か月齢の第2次性徴期を迎える頃までに大人の歯がはえそろう。その間、いろんなものを噛むように、生まれつきプログラミングされてる。
食べられるモノなのか、噛んで楽しいモノなのか、とりあえずなんでもかんでも噛んでそれを確認する。噛むことで脳は刺激され、あごも鍛えられる。他に犬がいれば、噛みつき合って遊ぶ。
ま、寝てるか食べてるかの時間以外は、噛むモノを探してる。成長期の犬ってのは、そんなもん。
イタリア製のソファの足だって、おフランス土産のお高いバッグだって、英国製の自慢のシューズだって、そして飼い主のおみ足だって、彼らにとっちゃ関係ない。
飼い主は、もう「どうすりゃいいのさ、このあたし」ってな気持ちに、なっちゃうんですけどね。
適切な対応はまず、噛んでいいモノと噛んで欲しくないモノをきちんと分けること。で、噛んで欲しくないモノは、しまう、(それがある場所に)いかせない、金属などでカバーする、辛く、苦く、酸っぱくする(=まずくする)。
一方で、コングなど食べモノを中に仕込めるゴム製のおもちゃや牛皮でできた犬用のガム、アキレスといった、カジカジできるモノを与える。さらに犬同士の噛みつき遊びの代わりとして、引っ張りっこ遊びを十分に行う。噛みたい欲求は、そうやって満たす。
叱る、ってのはなんの解決にもならんですよ。なぜって、叱ることでは、彼らの噛みたい欲求は、まったく満たせませんからね。犬の方が「どうすりゃいいのさ、このあたし」って、なっちまう。
以上をよ~く噛みしめてですね、適切なる甘噛み対策をば、ぜひ。
※週刊ポスト2014年7月11日号