国際情報

中国のサイバーテロ 習近平主席は「中国も被害者だ」と抗弁

 中国海軍がベトナム漁船に銃撃や放水・衝突し、空軍が日本の航空自衛隊戦闘機に異常接近するなど、近年、中国軍によるアジア諸国への挑発行為が相次いでいる。国際教養大学教授でチャイナウォッチャーとして知られるウィリー・ラム氏が、アジアのみならず欧米にも向けられる中国のサイバーテロについて解説する。

 * * *
 中国の軍事攻勢はアジアばかりでなく、欧米にも向けられている。中国軍の直属部隊によるサイバーテロだ。よく知られているのが上海に拠点を置く61398部隊。米情報セキュリティ大手、マンディアント社によると、同部隊は2006年以降、15か国で活動、情報技術、航空、出版、衛星通信など20業種141社のコンピューター・ネットワークに侵入し重要情報を盗んでいる。

 昨年6月、米カリフォルニア州で行なわれた米中首脳会談で、オバマ米大統領が、習氏にサイバーテロ攻撃を止めるよう迫った。これに対して、習氏は「中国も被害者だ」と抗弁するのが精一杯だった。

 その後、同部隊は数か月間、サイバー攻撃を止めていたが、いまではテロ行為を再開。中国には同部隊と同じような組織が20以上もあり、そのうちの10以上が軍直属部隊であることが分かっている。

 このように、サイバーテロが急増しているのも習近平政権の特徴だ。習氏は今年2月、党中央インターネット安全・情報化指導小組(グループ)のトップに就任したが、このグループの主要な任務は公表されていない。香港の消息筋は「国内のインターネットを取り締まるとともに、61398部隊のようなサイバーテロの標的を選定したりするなどの指示を統括的に行なう機関」と見ている。

■翻訳・構成:相馬勝(ジャーナリスト)

※SAPIO2014年8月号

関連キーワード

トピックス

NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
カラオケ大会を開催した中条きよし・維新参院議員
中条きよし・維新参院議員 芸能活動引退のはずが「カラオケ大会」で“おひねり営業”の現場
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
襲撃翌日には、大分で参院補選の応援演説に立った(時事通信フォト)
「犯人は黙秘」「動機は不明」の岸田首相襲撃テロから1年 各県警に「専門部署」新設、警備強化で「選挙演説のスキ」は埋められるのか
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン