夏休みの旅行を前に、デジタルカメラの購入や買い替えを考えている人もいるだろう。だが、近年はスマートフォンに搭載されているカメラ機能が日々進化を遂げていることから、デジカメの売れ行きは芳しくない。
カメラ映像機器工業会(CIPA)の調べによるデジカメ総出荷台数は、2010年に約1億2000万台あったが、2014年は5050万台と半分以下にまで減少する見通しだという。
特に落ち込みが激しいのが、持ち歩きに便利なコンパクトデジカメ市場で、国内出荷は2013年度比で19.6%減の450万台にとどまると予想されている。
「以前は子供の運動会や学芸会など大事な写真を保存したいときは一眼レフ、日常の風景やちょっとした旅行にはコンデジと使い分けていましたが、今は望遠機能が必要なければスマホで十分。キレイに撮れるし、すぐに撮影してそのままSNSにアップしたり、LINEで友人や家族に写真を送って近況報告をしたりできるから便利」(30代主婦)
こんな消費者の声をいち早く察知していたカメラメーカーは、スマホ機能と大差がない低価格のコンデジ製品を縮小させている。
「キヤノン、オリンパス、富士フイルムといったメーカーですら、全事業に占めるカメラ依存度は3割未満。コンデジの新製品はスマホと差別化する意味で、明るさや画質、ズーム機能などを極限まで高めた“高級デジカメ”路線にシフトしている」(経済誌記者)
大手家電量販店によると、コンデジの平均購入価格帯は4万円前後とのこと。中には一眼レフを凌ぐほどの高画質で10万円に迫る価格のコンデジも発売されており、かつて1万円を切るような低価格製品が市場をリードしていた時代は終わった。
とはいえ、ソニーの「サイバーショット」、カシオの「エクシリム」などコンデジブランドの最新モデルが、高性能はもちろん“自分撮り”や“画像加工”といった付加価値を売りにしていることからも分かるように、各社ともスマホユーザーの取り込みを意識しているのは明白だ。
では、スマホのカメラ機能だけでは物足りない消費者は、どんなコンデジを選べばいいのか。IT・家電ジャーナリストの安蔵靖志氏に聞いた。まずは基本仕様から。
「望遠が利いてこそスマホとは違う使い方が出てくるので、5倍~10倍のズーム機能は欲しいところです。画素数は1600万画素もあれば色鮮やかに撮れます。あとは暗い場所でもよりキレイに写る“裏面照射型センサー”搭載のモデルを選ぶといいでしょう」
次に、安蔵氏が指摘する購入ポイントが「スマホとの連動」だ。
「スマホを使っている人であれば、Wi―Fi対応で撮った写真をスマホに送れる機能は必須。転送には一手間かかりますが、2、3分もあればできますし、SDカードを取り出してパソコンに読み込ませてという面倒な作業は必要ありません」
そして、意外にも忘れがちなのが「動画撮影」機能の充実度。
「いまやコンデジに動画撮影機能がついているのは当たり前ですが、ビデオカメラ代わりに使いたい場合には、記録方式の違いによってパソコンには取り込めても、DVDやブルーレイへの編集・保存ができない場合があるので注意が必要です」(安蔵氏)