国際情報

米国のイラク空爆続行 中国が反対していない理由とは何か

 米国がイラクのイスラム過激派「イスラム国」に対する空爆を続けている。オバマ大統領は「限定的な空爆」「地上軍は投入しない」と強調している。だが、それで問題解決するかどうか。

 厭戦(えんせん)気分が強かったはずの大統領が今回、空爆を決断した理由は2つある。まずイラク北部のセンジャール山で宗教的少数派のヤジーディ教徒など数万人が孤立し、食料や水が尽きかけていた。

 それから、同じく北部のアルビルには米国領事館や米国とイラク政府軍の共同軍事拠点があり、多数の米国人がいる。領事館に関して大統領には苦い経験がある。

 2012年のリビア・ベンガジ米領事館襲撃事件だ。このとき駐リビア大使ら米国人4人が殺害され、オバマは責任を厳しく追及された。今回、失敗は許されない。

 過激派からの攻撃を空爆で一時的に阻止してみたところで、難民が包囲されている状況に変わりはない。根本的には難民を山岳から脱出させる必要があるが、それにはもっと大掛かりな支援が必要になる可能性が高い。

 イスラム国の攻撃は北部だけでもない。他の地域はどうするのか。米国が絡む地域だけを助けて、他を見捨てるのは難しい。結局、オバマはずるずると戦争に引き込まれていくのではないか。

 視野を広くとると、空爆がもつ意味は日本を含むアジア太平洋にとっても小さくない。米国はアジア重視政策を打ち出していたが、中東に足を引き込まれるようだと、アジア太平洋に割くエネルギーは小さくなるからだ。

 実際、ミャンマーで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議に出席したケリー国務長官と岸田文雄外相の外相会談はイラクとウクライナ、ガザの話が中心で、南シナ海や東シナ海をめぐる話は出なかった。

関連キーワード

関連記事

トピックス

羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
女性セブン
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。  きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。 きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
NEWSポストセブン
シリアスな役あkら、激しいアクションまで幅広くこなす北村
北村匠海、朝ドラ『あんぱん』で“やなせたかしさん役”として出演か 主演の今田美桜とは映画『東リベ』で共演し強い絆
女性セブン
今年の1月に50歳を迎えた高橋由美子
《高橋由美子が“抱えられて大泥酔”した歌舞伎町の夜》元正統派アイドルがしなだれ「はしご酒場放浪11時間」介抱する男
NEWSポストセブン
入社辞退者が続出しているいなば食品(HPより)
「礼を尽くさないと」いなば食品の社長は入社辞退者に“謝罪行脚”、担当者が明かした「怪文書リリース」が生まれた背景
NEWSポストセブン
STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
入社辞退者が続出しているいなば食品(HPより)
いなば食品、入社辞退者が憤る内定後の『一般職採用です』告知「ボロ家」よりも許せなかったこと「待遇わからず」「想定していた働き方と全然違う」
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン
ムキムキボディを披露した藤澤五月(Xより)
《ムキムキ筋肉美に思わぬ誤算》グラビア依頼殺到のロコ・ソラーレ藤澤五月選手「すべてお断り」の決断背景
NEWSポストセブン
大谷翔平を待ち受ける試練(Getty Images)
【全文公開】大谷翔平、ハワイで計画する25億円リゾート別荘は“規格外” 不動産売買を目的とした会社「デコピン社」の役員欄には真美子さんの名前なし
女性セブン