国際情報

橋本元首相、新聞記者ら 中国ハニートラップにハマった人々

 ハニートラップは古来、中国の情報工作の一つ。女性工作員が男性を籠絡して機密情報を得る、または弱みを握って揺さぶる策謀だ。対象は政治家、官僚など多岐に渡る。

 有名なのは、橋本龍太郎元首相を籠絡した中国人女性通訳のケースだ。1996年、橋本氏に、中国政府関係者を夫に持ち駐日中国大使館への勤務経験もある中国人女性との親密な関係が発覚した。

 後に、この女性は北京市公安局の情報工作員だったことが判明。橋本氏と交流を持ちながら、中国へのODA増額などの働きかけを行なっていた疑いがある。

 2人の出会いは1970年代末、ホテルニューオータニのロビー。女性は橋本氏の前で、白いハンドバッグを落とし、それを拾ってもらう。橋本氏は、突如現われた女性の美貌に心を躍らせるが、あらかじめ仕組まれた工作の可能性が高い。

 2004年、上海総領事館員も巧妙な罠に嵌まってしまった。上海のナイトクラブで働くホステスと交際していた領事館員は、このホステスとの交際などをネタに中国公安の「協力者」になることを迫られる。中国公安は、領事館員が暗号電文を送受信する立場であることを既に知っていた。

 思い悩んだ領事館員は、領事館内の宿直室で自ら首を吊る。遺書にはこう綴られる。

<日本を売らない限り私は出国できそうにありませんので、この道を選びました>

 日頃、中国共産党を取材する立場のジャーナリストにもハニートラップの毒牙が及ぶ。

 昨年7月、大手全国紙で数多のスクープを飛ばしていたエース特派員とテレビ局の中国人スタッフの「禁断不倫」が週刊誌によって報じられた。

 記者は中国人女性と仕事で知り合う。その後、取材現場で顔を合わすうちに恋愛に発展していくのだが、これを“男の火遊び”と軽視することはできない。記者は、中国人女性を支局内に連れ込み、取材情報が集積されたパソコン端末を使用させていたと記事には綴られている。

 昨今、その大手紙は中国共産党の暗部を執拗に報じている。それらの情報源を割り出したい当局にとっては、新聞社の内部情報は何としてでも手に入れたいものだ。ちなみに、この女性は中国軍幹部の娘だという。

 狙われるのは民間のビジネスマンも同様だ。例えば国家間のプロジェクトに関わる財界人などは、ハニートラップの格好の対象になろう。

「中国進出メーカーの駐在員もハニートラップの被害者となることがある。ある現地支社長は、愛人兼秘書に若い中国人女性を雇い、奥さんの監視を逃れて、“我が世の春”を謳歌していた。この中国人女性に関係を家族や会社にばらすと脅迫され、多額の金銭を支払ったと聞きました」(大手メーカー・中国駐在員)

 心を許したが最後。中国人の策謀はしたたかで恐ろしい。

※SAPIO2014年9月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も
M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」」
女性セブン
”令和の百恵ちゃん”とも呼ばれている河合優実
『不適切にもほどがある!』河合優実は「偏差値68」「父は医師」のエリート 喫煙シーンが自然すぎた理由
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン