かの国の”闇”がまた一つ明らかにされた。中国の情勢に詳しい拓殖大学教授・富坂聰氏が報告する。
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かねてから臓器の〝ヤミ市場〟の存在が指摘されてきた中国で、それを証明するような大事件が明らかになったのは、2014年8月11日のことだ。
報じたのは『新京報』である。タイトルはそのものズバリ、〈40人の臓器提供者をヤミで囲い、23の腎臓を摘出。海鮮と申請して空輸した〉である。
記事は今年7月、江西省南昌市青山湖区の人民法院(地方裁判所)で開かれた公判をもとに書かれたもので、被告の12人に対して判決が下されたことを受けている。
〈腎臓のヤミ販売グループは、江西省から広東省にまたがり、ネットを通じて臓器提供者を募集していた。違法に買い取った臓器は別の場所に空輸されていたのだが、わずか5か月間の間に40人を囲い、23の腎臓を摘出して違法に1540万8000元(約2億6000万円)を荒稼ぎしていた。事件の黒幕は、薬局店の経営者で、薬を多くの売るために医者と結託し、違法な臓器も提供していた〉
記事のなかでは、実際に臓器を提供した若い男の証言も紹介されている。その人物によれば、場所は中古車販売店の近くの人目につきにくい小さな旅館で、カビだらけ布団のある狭い部屋だったという。180センチはあると思われる山東省出身の見張りがいて、そこでは食って寝るだけの生活だったという。
臓器提供の広告に応じたのは手っ取り早く金を手にしたかったからで、たいていは20代から30代の男性だった。謝礼は2万2000元(約37万円)から2万5000元(約42万円)だった。
体験を語った男性が臓器を取られたのは旅館に入ってから20日目のことだった。病院までは目隠しをされたという。
この事件に国内からも強い怒りの声が噴出したが、最終的にこのグループに下された懲役刑は、主犯格に9年6か月、最低で2年というものであった。