ビジネス

激安の殿堂ドンキ好調持続 訪日外国人の観光名所化にも成功

いまや主婦やファミリー客も多いドン・キホーテ

 景気回復基調を反映し、小売りの世界ではデフレの象徴だった安売り業態が軒並み不振だといわれている。しかし、「激安の殿堂」を掲げるディスカウントストアのドン・キホーテにその現象はまったく当てはまらない。

 1989年3月、東京・府中市に1号店を出したドンキは、直近の2014年6月期決算を迎えるまで実に25期連続で増収増益を続けている。わずか12億円ほどだった売り上げは、いまや6124億円。店舗数も気が付けば283店にまで膨らんだ。

 ドンキが景気の波にも左右されずに好調をキープできた秘密は何か。

『情熱商人ドン・キホーテ創業者の革命的小売経営論』(商業界)などの著書がある流通コンサルタントの月泉博氏が解説する。

「トイレットペーパーからルイ・ヴィトンまで、わずか300坪足らずの店内にぎっしりと商品を圧縮陳列する手法で、総合スーパー(GMS)でも百貨店でもない独自のオペレーションをつくりました。また、商品構成、仕入れ、価格設定に至るまで売り場担当者に権限が委譲されており、顧客ニーズの変化に即座に対応できる体制をとっているのが最大の強みです」

 出店する場所や顧客層に合わせて柔軟に売り場を変えることで、売り上げを堅持してきたというわけだ。

 さらに、ドンキといえば深夜営業が特徴で、繁華街の店舗は常に若者たちで賑わっている印象が強いが、近年はその傾向も徐々に薄らいでいるという。

「確かに新宿、渋谷、六本木など繁華街の店舗は、深夜に着ぐるみやコスプレを買う若者がいたり、クラブのお姉さんに何かを買ってあげたりという客層のイメージがありました。でも、店舗数が増えたいまは、サプライズな買い物をする店から日用品も揃う“近所にあって当たり前”の店になっているのです」(月泉氏)

 業態転換の契機となったのは、2007年に長崎屋を買収してつくったGMS版ともいえるMEGAドン・キホーテの展開である。

「生鮮食品や生活必需品も数多く揃え、これまでドンキに近付かなかった主婦やファミリー客を“昼間”に集めることに成功しました。客層の広がりは、業態こそ違いますがユニクロが子供から高齢者まで呼び込んで圧倒的な強さを見せているように小売りの世界では欠かせない要素なのです」(月泉氏)

関連キーワード

関連記事

トピックス

水原一平氏のSNS周りでは1人の少女に注目が集まる(時事通信フォト)
水原一平氏とインフルエンサー少女 “副業のアンバサダー”が「ベンチ入り」「大谷翔平のホームランボールをゲット」の謎、SNS投稿は削除済
週刊ポスト
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
カンニング竹山、前を向くきっかけとなった木梨憲武の助言「すべてを遊べ、仕事も遊びにするんだ」
女性セブン
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン