宿題代行業者をめぐっては、そのビジネスの是非、依頼する親の問題、宿題を出す側の教師の問題など、議論は各所で活発に繰り広げられている。
宿題のあり方そのものを見直してはどうかと提案するのは、参議院議員の松田公太氏だ。松田氏は5歳から高校卒業までほぼ海外で育った帰国子女。小学校時代に夏休みの宿題はなかったと語る。
「『昔からあるものだから』という理由だけで夏休みの宿題が出ているとしたら思考停止以外の何ものでもありません。
私の場合、中学はアメリカで過ごしました。その時に出された宿題は簡単な読書感想文だけ。その代わり1か月ほど自然の中で過ごすサマーキャンプに参加しました。朝6時から朝食、植物採集をしたり、テニス、乗馬や池で泳いだりするなどみっちりプログラムが組まれていて、ボーッとしている暇はありません」
サマーキャンプは欧米の子供にとって夏休みの定番だ。そこで社会性、自立心、リーダーシップが育まれる。松田氏が続ける。
「日本の宿題は“やらされている感”が強い。もう少し子供に選択の自由を与えてはどうでしょうか。たとえば『休みの間に何か一つのことを達成する』をテーマに考え、行動させて、新学期に皆の前で3分スピーチとして発表する。『サッカーのリフティングを100回できるようになる』でもいい。なぜその目標にしたか、どんな苦労や工夫をしたかを発表させることで自主性や表現力が身につくと思います」
同じくアメリカで育った東京大学大学院のロバート・キャンベル教授は語る。
「日本の夏休みは勉強したり、レポートを課されたりするので“補習期間”のような位置づけなのでしょう。欧米は違う。英語で夏休みや冬休みは“ブレイク”といいます。ブレイクとは切れ目のことで、学校生活とは離れたことをするのが普通。せっかくの長期休暇に学期中と同じことをするのはもったいない。普段経験できないことをすべきだと思います」
※週刊ポスト2014年9月19・26日号