飛行機会社のCA(キャビン・アテンダント)といえば男女を問わず憧れの的だが、CAは制服姿を美しく見せるために、立ち居振る舞いや身だしなみの細部にまで気を遣っている。
「各国の大手航空会社では、制服の着こなしはもちろん、歩き方から笑顔の作り方、メイクに至るまで細かい指導がなされます」(航空評論家・青木謙知氏)
そうした指導の一部を垣間見られるのが、旅行代理店が企画する「キャビンアテンダント体験ツアー inソウル」だ。アシアナ航空乗務員訓練センターで3日間の研修を体験できる。IACE TRAVEL九州地区/アジア担当統括部長の瀧上大輔氏が説明する。
「アシアナ航空の制服はグレーとブラウンの中間となるシックな色合いで、形もオーソドックスです。研修では、安全運航のために『動きやすさ』を第一に考えた制服であると説明されます。この点は各航空会社共通で、一見スリムでセクシーに見える制服でも伸縮性のある素材が使われて、しゃがんだり走ったりしやすいようになっています」
特に国際線のCAは制服のブラウスの替えやメイク道具など大荷物を持った移動となることが多いため、「歩き方」の指導などが入念に行なわれる。
「空港とステイ先のホテルの間の移動中など、制服を着ている時は常に会社の顔だという意識を研修でも徹底して教えられます」(瀧上氏)
研修ツアーでは、緊急着水訓練も体験できる。参加者はウェットスーツで体験するが、「本物のCAの研修では訓練は制服でやります。スカートの素材や形状が工夫されているため、緊急用のスロープを滑り降りても、スカートはめくれたりしません」(同前)という。
美しさと安全運航を両立するため、CAの制服には様々な工夫が施され、着る女性たちも日頃から鍛錬を重ねているのだ。
※週刊ポスト2014年10月3日号