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豚レバー生食などで感染するHEV 潜伏長く忘れたころに発症

 2012年7月に牛レバーの生食販売が禁止された影響で、豚レバーの生食を提供する店が増えている。それに伴いE型肝炎ウイルス(HEV)感染者が増え、厚生労働省は今年6月、豚の肉や内臓の生食用提供を法的に禁止すべきという報告書を提出した。

 これまでHEVは、衛生状態の悪い東南アジアやアフリカ諸国で、汚染された水を飲んだことで発症するケースが多かったため、渡航歴がない急性肝炎患者はHEVの感染を疑われなかった。自治医科大学医学部感染・免疫学講座の岡本宏明教授に話を聞いた。

「この10年で研究が進み、HEVは豚や野生のイノシシ、鹿でも感染する人獣共通感染症の原因ウイルスであることが判明しました。ところが、豚は感染しても症状が出ないので、養豚農家の方も気づきません。また、指定された菌やウイルスを持っていない証明が付いたSPF豚だから安全、という誤った情報が流布しています。HEVは指定対象外なので、SPF豚でも豚のレバーなどの生食は感染の怖れがあります」

 HEVの潜伏期間は2~8週、平均6週間なので、本人も食べたことを忘れた頃に発症する。また、B型やC型などの肝炎ウイルスは感染すると慢性化するが、E型は感染しても通常一過性で99%は症状がないまま抗体ができる。残り1%は発症し、その約15%は劇症肝炎など重症化する。特に妊婦と高齢者は劇症肝炎になりやすく、死亡率も高い。

 2011年、HEVの検査薬が保険適用になり、健康診断などで感染が確認されるケースもある。食中毒のリスクや寄生虫の恐れがあり、昔から完全加熱が常識だったが、海外の食文化流入で肉の生食に対する垣根が低くなっている。HEV感染リスクを考え、生食や加熱不足は避けたい。

(取材・構成/岩城レイ子)

※週刊ポスト2014年10月10日号

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