ライフ

三島由紀夫の「最後の晩餐」は鳥鍋 女将は「またいらして」

 歴史の教科書に載っていたあの人が贔屓にした店で、現在でも営業を続けているところがある。のれんをくぐり、一口食せば日本の歴史に名を刻む著名人の生きた時代を感じられるはず。

 そんな名店の一つ、『末げん』。三島由紀夫の「最後の晩餐」は、明治42年に創業した鳥鍋料理の老舗『末げん』だった。三島は連載していた『豊饒の海』の最終回を書き上げた後、自衛隊市ヶ谷駐屯地で割腹し、自決する。

「学生の頃から家族でよくいらしてました。自決前夜の宴は『楯の会』メンバーと5人。私の祖父の時代でした。張り詰めた雰囲気だったと聞いています」(店主・丸哲夫さん)。

 三島の食べた看板メニューの鳥鍋は、豆腐やこんにゃく、しいたけと鶏肉をスープで炊き、しょうゆやポン酢に大根おろしを入れて供される。食事を終えた三島が帰る際、女将が「またいらしてください」と声をかけると「また来いって言われてもなあ…でも、こんなにきれいな女将がいるならあの世からでも来るかな」と答えたという。三島はどんな気持ちで店を後にしたのだろうか。

【末げん】
住所:東京都港区新橋2-15-7
営業時間:11時半~13時半、17~22時
定休日:日・祝(土は不定休)

※女性セブン2014年10月23・30日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

結婚生活に終わりを告げた羽生結弦(SNSより)
【全文公開】羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんが地元ローカル番組に生出演 “結婚していた3か間”については口を閉ざすも、再出演は快諾
女性セブン
「二時間だけのバカンス」のMV監督は椎名のパートナー
「ヒカルちゃん、ずりぃよ」宇多田ヒカルと椎名林檎がテレビ初共演 同期デビューでプライベートでも深いつきあいの歌姫2人の交友録
女性セブン
NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン