「実家の片づけ問題」や、来年の相続税改正を控え、「親子関係」や家についてメディアで取り上げられる機会が増えている。そんな中、「自分のルーツを知りたい」と人気を集めているものがあるという。
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近年、自身の「家系図」を作る人が増えている。インターネットで検索すると、数多くの家系図作成を請け負う業者がいることがわかる。
奈良県で行政書士を営み、2005年から家系図作成を代行する山崎博之氏への依頼は年々増加中。この10年の作成実績は約2100件に達する。
山崎氏は依頼者から委任状を得て戸籍を取得し、それらの情報を元に2~3か月程度で家系図を作成。「大切な記録を100年先まで残す」(山崎氏)ために、丈夫な和紙を利用した和綴じで製本する。中でもシルクを用いた「正絹緞子家系図」(11万7720円、税込)が最も人気だという。
「最近はリタイア後の団塊世代が半生を振り返り、自分の軌跡を子や孫に遺したいと依頼するケースが多い。また、結婚で戸籍から抜ける娘さんが親にプレゼントする用途で依頼する例もあります」(山崎氏)
1683年創建の泰耀寺(東京都江戸川区)の矢田俊住職は檀家と一緒になって家系図作りに取り組む。檀家に戸籍謄本や除籍謄本(婚姻や離婚、死亡、転籍などで記載されている人全てがいなくなった状態の戸籍)を取得してもらい、年長者の話を丹念に聞いて家系図の元となる情報を集める。
「70代~80代になると先祖のことを知りたがる方が多い。最近、日本では無縁仏が増えていますが、家系図を通してお墓を守る大切さに気づく方も多く、『いい先祖供養になった』と喜ばれます」(矢田住職)
※SAPIO2014年12月号