3年ぶりに日本球界に復帰する中島裕之。阪神は4年12億円の好条件を掲示したが、3年14億円のオリックスに持っていかれた。
それにしてもこのオフは阪神の「交渉下手」がいつにも増して目立つ。鳥谷の引き留めに失敗しそうなうえに、FAでの獲得を狙った山井大介(中日)や宮西尚生(日本ハム)も残留を決めた。補強はことごとく失敗している。
「ハッキリいえばフロントの問題だね。例えば中島は直前まで、阪神とオリックスどちらにするか迷っていたが、決め手はオリックスの瀬戸山(隆三)GMからの電話だったと聞いた。阪神は熱意の面でも負けているんだろう。他の選手に対する態度も推して知るべしだよ」(阪神の重鎮OB)
中島が各球団に断わりを入れた際の方法も意味深だ。西武には「残念ですが……」という丁重な断わりの電話を入れたが、阪神には「深夜の電子メール」だったという。中村勝弘GMは補強がうまくいかない状況に、「全力で我々は対面していっているので結果はしょうがない」と開き直っているが、一番の戦犯が言い訳ばかりとは情けない。
かつて阪神の球団社長を務めた野崎勝義氏が語る。
「ここらで一度立ち止まって、本当にチームに必要な補強は何かを考え直す時ではないでしょうか。私の時代と違って最近は補強費も潤沢になったためか、お金をちらつかせてFAの大物獲得に走るばかりで、若手を育てる視点を欠いているように思う。その場しのぎの補強ではチームは強くなりません」
阪神の本当の問題は、誰も責任感と覚悟がないことではないか。
※週刊ポスト2014年12月26日号