スポーツ

PL、天理、創価 新宗教母体の私立高校野球部はなぜ強いのか

 高校野球で全国制覇7度のPL学園だけでなく、3度の天理(天理教)、同じく3度の智辨和歌山(辯天宗)。優勝こそないものの創価(創価学会)や佼成学園(立正佼成会)も甲子園出場経験がある。

 さらに幸福の科学も学校経営に乗り出し、創立5年目の幸福の科学学園野球部は今夏、栃木大会でベスト8と大躍進をみせた。新宗教を母体とする私立高校野球部はなぜ強いのか。

 PLの場合、情報網が野球部を支えた。有望選手がいればスカウトが全国に足を運び、1980年代の黄金期には入部希望者が殺到してセレクションを実施(高野連の規定で現在は禁止)するほどだった。

 宗教団体のネットワークを駆使して、有望選手の情報を募るのは、他の学校も同様だろう。またPLでは入学が決まった選手の学費や寮費などは、教団会員の浄財が充てられた。宗教団体にとって、野球部は広告塔ゆえ、多額の財源を投下できたのである。

 新宗教系私立高校ではナインの入信が義務づけられるケースがあるが、ナインが同じ信仰を共有することで団結力が生まれることも強さの秘訣であるはずだ。だが、閉鎖的な空間で、一般の生徒と差別化された環境で野球に専念することで、歪な上下関係が生まれ、暴力やイジメの温床となったことは否めない。

 信仰心がプレーに与える影響もあるだろう。PLのナインは、打席に入る際に首に下げたアミュレット(お守り)を握りしめ、祈りを捧げた。

 桑田真澄にPL学園時代を振り返ってもらうと、彼は必ずこの言葉を口にする。「野球の神様って、本当にいるんです」。他にも、マウンドで念仏のような言葉を口にする投手、プレーボールの直前、全員で座禅を組むような学校もある。

 祈ればヒットが打てるわけではないし、150キロのボールが投げられるわけでもないだろう。ただ一定のルーティンで打席や投球に向かうことで、心を落ち着かせ集中力が高まるような効果は期待できるのかもしれない。

 しかし最近は高野連の目を気にしてかグラウンド内での宗教的儀式は見かけなくなってきている。

※SAPIO2015年1月号

関連記事

トピックス

結婚生活に終わりを告げた羽生結弦(SNSより)
【全文公開】羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんが地元ローカル番組に生出演 “結婚していた3か間”については口を閉ざすも、再出演は快諾
女性セブン
「二時間だけのバカンス」のMV監督は椎名のパートナー
「ヒカルちゃん、ずりぃよ」宇多田ヒカルと椎名林檎がテレビ初共演 同期デビューでプライベートでも深いつきあいの歌姫2人の交友録
女性セブン
NHK中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《広島局に突如登場》“けしからんインスタ”の中川安奈アナ、写真投稿に異変 社員からは「どうしたの?」の声
NEWSポストセブン
《重い病気を持った子を授かった夫婦の軌跡》医師は「助からないので、治療はしない」と絶望的な言葉、それでも夫婦は諦めなかった
《重い病気を持った子を授かった夫婦の軌跡》医師は「助からないので、治療はしない」と絶望的な言葉、それでも夫婦は諦めなかった
女性セブン
コーチェラの出演を終え、「すごく刺激なりました。最高でした!」とコメントした平野
コーチェラ出演のNumber_i、現地音楽関係者は驚きの称賛で「世界進出は思ったより早く進む」の声 ロスの空港では大勢のファンに神対応も
女性セブン
元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
5月31日付でJTマーヴェラスから退部となった吉原知子監督(時事通信フォト)
《女子バレー元日本代表主将が電撃退部の真相》「Vリーグ優勝5回」の功労者が「監督クビ」の背景と今後の去就
NEWSポストセブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン