ビジネス

首都圏不動産 中央区勝どき等湾岸エリアは人気高く価格上昇

 首都圏の新築マンションの供給は2012年の水準まで減少している。この先、どのような動きをみせるのか、不動産の市況調査を手がける東京カンテイ市場調査部の井出武・上席主任研究員が解説する。

 * * *
 首都圏の新築マンションの供給戸数は2014年10月現在、春先の消費増税などによる反動減から一昨年の水準まで減少している。実はこの現象には、消費増税よりも大きな理由がある。建築コストの上昇や人手不足、特に熟練した工事管理者が足りなく、開発側も苦慮していると聞く。高額物件や大規模物件を開発する大手デベロッパーの中には、新築のプロジェクトをウェイティング(売り出すタイミングを後ろにずらすこと)するという動きもある。

 新築マンションの商戦期は年に2回あるといわれる。1回目がゴールデンウイークから梅雨入り前までの5月~6月ごろ、2回目は秋の商戦期だ。例年なら9月~11月、長ければ12月上旬ごろまで続くが、その商戦期が今秋は無いに等しい状況となっているという現象が起きている。

 建築コストの高騰によりマンション価格が高くなりすぎたため多くの開発業者が供給を一時的にストップしているという事情が背景にあるが、消費再増税や税制の行方が見えるまで動くに動けないという買う側の心理も供給減に拍車をかけているようだ。

 首都圏だけでなく、近畿圏や中部圏も含めてほぼ全国的に新築マンションも新築戸建ても供給戸数が減少の傾向にある。もっとも、確実に売れる物件、顧客の購入が見込まれる小ぶりな高額物件などの供給は比較的順調だ。

 たとえば、港区、渋谷区、新宿区の一部、中央区など都心部の高額物件は富裕層を中心に売れ行きが好調である。加えて、これらの地域に立地する物件は収益性が非常に高いため、海外の富裕層や投資家らが最も注目しているエリアである。4月の消費増税後、外国人需要は少し鈍くなった感があるが、今秋の著しい円安の進行によって、おそらく外国人による買いの動きは再び旺盛になるのではないか。

 東京の湾岸エリアは引き続き人気が高く、価格も上昇している。その最も象徴的なエリアが中央区勝どきだ。隣接する同区月島も古き良き日本の情緒のようなものを大切にしながら開発した経緯があり、そういう意味でも非常に人気が高い。2014年の基準地価をみると、東京都の住宅地で最も上昇率が高かったのが月島の10.8%だった。

 東京オリンピック開催が決定してから1年以上経つが、湾岸エリアは相変わらず好調を持続している。ただし、同じ湾岸エリアでも前出の銀座に近い地区は目にみえて好調だが、五輪開催に向けた開発が今後本格化する有明などでは動きはまだ弱い。

※マネーポスト2015年新春号

関連記事

トピックス

STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
水原一平容疑者は現在どこにいるのだろうか(時事通信フォト)
大谷翔平に“口裏合わせ”懇願で水原一平容疑者への同情論は消滅 それでもくすぶるネットの「大谷批判」の根拠
NEWSポストセブン
大久保佳代子 都内一等地に1億5000万円近くのマンション購入、同居相手は誰か 本人は「50才になってからモテてる」と実感
大久保佳代子 都内一等地に1億5000万円近くのマンション購入、同居相手は誰か 本人は「50才になってからモテてる」と実感
女性セブン
宗田理先生
《『ぼくらの七日間戦争』宗田理さん95歳死去》10日前、最期のインタビューで語っていたこと「戦争反対」の信念
NEWSポストセブン
焼損遺体遺棄を受けて、栃木県警の捜査一課が捜査を進めている
「両手には結束バンド、顔には粘着テープが……」「電波も届かない山奥」栃木県・全身焼損死体遺棄 第一発見者は「マネキンのようなものが燃えている」
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
ムキムキボディを披露した藤澤五月(Xより)
《ムキムキ筋肉美に思わぬ誤算》グラビア依頼殺到のロコ・ソラーレ藤澤五月選手「すべてお断り」の決断背景
NEWSポストセブン
(写真/時事通信フォト)
大谷翔平はプライベートな通信記録まで捜査当局に調べられたか 水原一平容疑者の“あまりにも罪深い”裏切り行為
NEWSポストセブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン
大谷翔平を待ち受ける試練(Getty Images)
【全文公開】大谷翔平、ハワイで計画する25億円リゾート別荘は“規格外” 不動産売買を目的とした会社「デコピン社」の役員欄には真美子さんの名前なし
女性セブン
眞子さんと小室氏の今後は(写真は3月、22時を回る頃の2人)
小室圭さん・眞子さん夫妻、新居は“1LDK・40平米”の慎ましさ かつて暮らした秋篠宮邸との激しいギャップ「周囲に相談して決めたとは思えない」の声
女性セブン
いなば食品の社長(時事通信フォト)
いなば食品の入社辞退者が明かした「お詫びの品」はツナ缶 会社は「ボロ家ハラスメント」報道に反論 “給料3万減った”は「事実誤認」 
NEWSポストセブン