かつて『ベスト・フレンズ・ウェディング』(1997年)で、本物の音痴を披露していたキャメロン・ディアス(42才)はこのたび、インタビューで、開口一番こう言って笑った。
「今回、リアルに、私自身が歌っているわよ」
1月24日に公開された人気ブロードウェイ・ミュージカル『ANNIE/アニー』の映画版で、彼女は、ミュージカル映画初出演を果たした。
「今だって人前で歌うのは恐怖よ。でも、それ以上に歌ってみたいという思いが強かった。ううん、現代のニューヨークにアップデートされた今回の『アニー』なら、ぜひ出演したいという気持ちだったのよ」(以下カッコ内はキャメロン)
恵まれない境遇で育ったアニーが、ポジティブなハートで幸せをつかんでいく様子を描いた同作。舞台が現代のニューヨークであるため、例えばアニーの里親になる大富豪のスタックスは、モバイル会社で財を成したIT長者。クライマックスを飾る追跡劇ではツイッターが大活躍する。
そして彼女が言う「アップデート」とは、「みんなが有名になりたがっている状況のこと」だという。
「私が演じるミス・ハニガンって、舞台版では意地悪なオールド・ミスだけど、今回は、昔、ちょっとだけスポットライトが当たったことが忘れられず、何とかスター歌手になりたいという夢を捨て切れない。でも現実は、アニーたちを養子にして助成金をもらい、そのお金で飲んだくれているんだけど。
ほら、SNSの普及で“とにかく有名になりたい!”という人が世界中で増えているでしょう? 有名になれるんだったら、泥棒でも何でもやっちゃうような。実際そういうニュースも耳にするし」
最近の日本では「つまようじYouTuber」など、まさに彼女が指摘する事件が立て続けに起きている。
「ただ私は、女優という仕事をやっていて、多少人から注目される立場だから言うわけじゃないけど、やっぱり順番が逆だと思う」
17才の時にファッションモデルを始めたキャメロンが『マスク』(1994年)で映画デビューをしたのは21才の時だった。今でこそ彼女はハリウッドを代表する女優だが、『メリーに首ったけ』(1998年)で大ブレークするまでは苦悩の連続。かつてキャメロンはこんなことを語っていた。
「映画界ってモデルから一直線に女優になれるほどイージーな世界じゃない。私も女優になろうと決意した時は、ちゃんと演劇コーチについたし、初めて大きな役をもらった『マスク』の時は、悪役を演じた俳優のピーター・グリーンを勝手に演技の先生と決めて(笑い)彼のやることをじーっと観察させてもらったわ。
『マルコヴィッチの穴』(1999年)に出演を決めたのも、共演者のキャサリン・キーナーを尊敬しているからだったし、もちろん名匠マーティン・スコセッシ監督の『ギャング・オブ・ニューヨーク』(2002年)などは一瞬たりとも目をつぶりたくないほどの素晴らしい体験だった」
そんなキャメロンが、はっきりとした口調で言う。
「何をするにしても、そのことを必死でやりたいという思いが先にあって、人気とか名声とかはその後についてくるものでしょう。単なる“有名になりたい”病は、どう考えても不健全だわ」
※女性セブン2015年2月12日号