国内

米軍 日本の国土全域でなんの制約も受けず自由に軍事行動可

 いまの日本は、あまりにもおかしなことが多すぎる。その象徴が、米軍基地問題と原発事故問題だ。

 沖縄で自民党は、昨年11月の県知事選で大敗し、12月の総選挙でも4人中4人が小選挙区で落選という惨敗を喫した。いずれも辺野古での新基地建設を、ほとんどワン・イシューとして戦われた選挙である。しかし、それでも新基地建設の動きはまったくとまらない。

 一方、本土でも、近年広く知られるようになったように、首都圏上空は一都八県にわたって米軍に支配されており、日本の飛行機はそこを自由に飛ぶことができない。

「いったい、なぜなんだ!」

 過去4年間にわたり、多くの研究者とともにそうした謎を解こうとしてきたが、わかってみると答えは非常に単純なものだった。次の短い条文のなかに、そうした矛盾を生みだす原因がすべて隠されていることがわかったのだ。

〇旧安保条約第1条(部分)
「〔米軍を〕日本国内およびその附近に配備する権利を、日本国は与え、アメリカ合衆国は受け入れる」

 重要なのは、この条文によってアメリカにあたえられた権利とは、日本に「基地を置く」権利ではなく「軍隊を配備する」権利だということだ。

 つまり「米軍は日本の国土全域で、なんの制約も受けず、自由に軍事行動ができる」ということだ。そうしたメチャクチャな条約を「日本側から希望して結んだ」ということになっている。それが日米安保の本質なのである。

●文/矢部宏治(書籍情報者代表。『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』著者)

※SAPIO2015年2月号

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