中国江蘇省の常州市政府は1月31日、マイクロブログ「新浪微博」の同市公式アカウントで「わが市は2015年、いくつかの大規模な事業に注力する。その中には、常州市を拠点とする電線・ケーブルメーカー『江蘇上上電纜集団』が、中国で2隻目の航空母艦建造の契約を受注したものもある」と発表した。また、同市夕刊紙の常州晩報(電子版)も同日付で同様の記事を掲載したが、両者とも2日後にはインターネット上から削除されていた。
第2の空母建設は国家機密であり、市政府のとんだフライングだったとみられるが、「国家機密漏洩」による市政府関係者の処分はまだ公表されていない。
同紙の報道によると、常州市は1月30日、全市経済情報化工作会議を開き、同市の今年の工業生産額が昨年比10%増を見込んでいることを明らかにするとともに、その中核となる10大プロジェクトとして、空母のほか、護衛艦や潜水艦の建造をあげて、「我が市は海軍の軍事力向上に大いに貢献している」と自画自賛している。
中国では初の空母として、ウクライナから購入した「ワリャーグ」を改修した「遼寧」が就役しているが、遼寧の拠点である遼寧省の共産党委トップが「中国はすでに第2の空母の建造に取り掛かっており、2020年までに完成する」と省内の会議で明らかにし、地元メディアが報じていた。
ところが、この発言について、中国の検閲状況を監視する米ニュースサイト「チャイナ・デジタル・タイムズ」は中国の宣伝工作当局があらゆる報道の「削除を命じた」と伝えている。
今回の報道もわずか2日後には削除という同じ措置をとられており、中国当局が空母建造の情報が拡大することに敏感になっていることがうかがえる。
これについて、米紙「ワシントン・ポスト」は「中国軍は南シナ海の南沙諸島などの紛争地帯を抱えており、東シナ海でも日米と尖閣諸島問題で対立していることから、第2の空母建設などの海軍力拡充を伝えるニュースで、周辺諸国を刺激したくないのではないか」と解説している。