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月100時間サビ残ヤマト社員 「サービス残業ありきの会社」

「日本最大の成長産業」とも言われる宅配業界を牽引してきたのが、最大手のヤマト運輸であることは間違いない。しかし、その盟主もまた、急成長に伴う「痛み」に苦しんでいる。いま、この国の経済を支えてきた宅配システムが、大きな岐路を迎えている。ジャーナリストの横田増生氏がレポートする。

 * * *
 ヤマト運輸で一〇年近くセールス・ドライバー(SD)としてハンドルを握る金井高志(四〇)=仮名は、二年程前にうつ病にかかった。金井の働く宅急便センターでサービス残業が横行しているのが原因だった、と彼は言う。

 朝は、六時三〇分前後に出勤するが、〈PP(ポータブル・ポス)端末〉の立ち上げは八時以降と決められている。

 ヤマト運輸では、携帯電話を一回り大きくしたような宅急便の業務に使うPP端末の立ち上げから終了までをドライバーの勤務時間としている。

「八時以前にPP端末を立ち上げることを、うちのセンターでは”フライング”と呼んでいます。”フライング”すると、その日のうちに支店長から注意を受けます」

 しかし、会社が決めた時間に出勤すれば、とても時間指定通りにすべての荷物を配りきることはできない。

 また、勤務表では、昼食の時間を一時間とれることになっているが、一時間とれることはめったにない。しかたなく、運転したままで食べることができる、煎餅やバナナ、チョコレートなどで昼食の代わりとする。

 夜は、午後九時の時間指定の荷物を配り終えて帰社するとすぐに打刻して、その後、代引きの現金を精算したり、伝票を整理したり、センターの後片付けをしたりする。その時間が一時間弱。一日合計で、三時間強のサービス残業をしていることになる。

「法律違反であるサービス残業がヤマトではまかり通っていることに僕は腹を立てていました。おかしい、許せない、という気持ちが募って、不眠に陥り、それがうつ病につながったんだと思っています」

 と金井は語る。

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