投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が、3月2日~3月6日のドル・円相場の見通しを解説する。
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今週のドル・円は、米国の2月失業率が5.6%へ低下することが予想されていること、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による外貨建て資産の投資増額への期待が広がっていることから、ドルは強含みに推移すると予想される。
しかしながら、3月期末に向けた本邦機関投資家のリパトリ(外貨建て資産売却・円買い)が予想されるため、ドル大幅高の可能性は低いとみられる。リスクシナリオは、ギリシャの債務問題への警戒感、ウクライナ情勢や中東情勢の緊迫化を受けたリスク回避の円買い圧力の増大懸念となる。
【米国1月インフレ率】(2日)
米国連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標と注視している米国1月のコア個人消費支出(PCE)価格指数は、前年比+1.3%と予想され、12月から変わらずと見込まれている。1月の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録では、インフレ目標(+2.0%)を下回る低インフレ率の長期化が警戒されており、予想を下回った場合、利上げ時期の先送り観測が浮上する可能性がある。
【米国2月の雇用統計】(6日)
米国の2月雇用統計の予想は、失業率が5.6%で1月の5.7%からの低下、非農業部門雇用者数は、前月比+24.0万人で、1月の+25.7万人からの増加幅の減少が見込まれている。ただし、予想通りならば、17-18日のFOMCで、「忍耐強く」という文言が削除される可能性が高まることになる。
【安倍政権の円安抑制政策】
安倍政権は、対内的には、4月の統一地方選挙に向けて、原材料輸入価格の高騰に苦しむ地方中小企業への配慮から、円安を牽制する発言を繰り返している。また、対外的には、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉が難航していることで、ドル高・円安を抑制するスタンスを強めている。
3月2日-6日に発表予定の主要経済指標のポイントは次の通り。