熟年夫婦にとって夫の定年は大きなターニングポイント。夫婦の時間が増えることで相手の欠点が気になってしまうケースもあれば、逆に惚れなおすことも。62才の主婦Tさんが、定年した夫との関係を告白します。
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定年退職した夫が突然、「実家の空き家を直して、そこで暮らしたい」と言い出しました。夫の実家は山梨の山麓。私は住み慣れた東京を離れたくありませんでしたし、それに相談もなく決められた腹立たしさから口論に。結局、夫だけが山梨に移ることになりました。
私はというと、はじめこそ夫のいない自由を満喫していましたが、半年も経つと寂しさと不安が募り…。だけど、「田舎なんて」と言った手前、私から夫と暮らしたいとは言い出せませんでした。
ある日のこと、山菜採りをしていた夫が、滑落してけがをしたと連絡が入りました。駆けつけてみると、部屋の中は洗濯物やゴミが山積みで散らかり放題! 夫はそんな生活に行き詰まりを感じていたようで、「やっぱりお前がいないとダメだ。一緒に暮らしてほしい」と切なげな顔。「やった」と思いました。
田舎暮らしは想像以上に大変ですが、以前よりも夫婦の会話が増えましたし、自然に揉まれてたくましくなった夫と、意外と楽しく過ごしています。
※女性セブン2015年4月9・16日号