国内

天皇 パラオでの海上保安庁巡視船船長室宿泊はご自身の意向

 4月8~9日にかけて、天皇・皇后の悲願だった「パラオ慰霊」が実現する。天皇はこれまでに硫黄島(1994年)、サイパン(2005年)などで「戦没者慰霊の旅」を続けてきたが、太平洋戦争屈指の激戦地であるパラオ訪問は10年前から検討されていたものの「受け入れ態勢が整わない」という理由で実現してこなかった。

 パラオのペリリュー島は、戦力に劣る日本軍が激しいゲリラ戦を展開したことから米軍内で「天皇の島」と呼ばれ、日米双方で約1万2000人が戦死。天皇は9日にペリリュー島に上陸し、両国兵士の慰霊碑に祈りを捧げる。

 日程でとりわけ注目されたのは一行の宿泊先だった。今回、天皇・皇后はパラオの宿泊施設ではなく、洋上に停泊する海上保安庁巡視船「あきつしま」の船長室に宿泊する。異例の船中泊が決まるまでには滞在を巡って官邸と宮内庁の間で駆け引きがあったという。官邸筋が明かす。

「パラオの警察官はわずか200人で、警備にあたるのは50人足らず。警備態勢の整ったホテルもないため、訪問はご遠慮いただきたいというのが官邸側の本音だった」

 だが、それをはねのけたのは「天皇の意向」といわれている。

「パラオ訪問が警備の都合で実現しなかった経緯を残念に思っておられる両陛下が、“宿泊は船内でも構わない”との見解を示されたと聞きます」(ベテラン皇室記者)

 また、ある宮内庁関係者は「官邸が難色を示したのは別の理由もあったからではないか」という言い方をする。

 通常国会で安倍晋三首相は安全保障関連法の成立に強い意欲を見せ、自公両党が自衛隊の海外活動を広げるなどの骨格で合意し準備を着々と進めている。3月20日の参院予算委で安倍首相が自衛隊を「我が軍」と答弁したのも、その高揚感からの失言だったと見る向きは多い。そうしたタイミングでの官邸の「パラオ訪問消極論」は、前出の宮内庁関係者の目にこう映った。

「両陛下が戦没者の慰霊に赴けば、国内外で“戦争を反省する天皇”の姿勢と“好戦的な首相”という対比をされかねない。だから官邸はパラオ訪問に消極的だったのではないか」

※週刊ポスト2015年4月10日号

関連記事

トピックス

《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も
M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」」
女性セブン
”令和の百恵ちゃん”とも呼ばれている河合優実
『不適切にもほどがある!』河合優実は「偏差値68」「父は医師」のエリート 喫煙シーンが自然すぎた理由
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン