開幕前の評価に反してセ・リーグ首位の座を掴んだ中日のスタートダッシュ成功の立役者は、3月31日の巨人戦から5番・一塁でスタメン起用された福田永将(26)だ。2回、先頭打者でいきなりホームラン。この試合4打数3安打2打点の活躍で勝利に貢献すると、4月2日の巨人戦でも決勝2ランを放ち、2年ぶりの同一カード3連勝を呼び込んだ。
入団9年目の今年まで一軍に定着できなかった苦労人。昨秋のキャンプで、臨時コーチの土井正博氏の指導で才能が開花したといわれる。「人のアドバイスにきちんと耳を傾ける性格」(球団関係者)と、チーム内の評判も上々だ。
今年のオープン戦17試合で4本塁打13打点、打率.483と打ちまくって猛アピールした、そんな福田を抜擢したのは、森繁和ヘッドコーチの“お手柄”だったといわれている。
開幕カードで阪神に3連敗した大阪遠征の際、森コーチは食事に訪れた大阪のフグ料理店で店主からフグの置物をプレゼントされ、ナゴヤドームのベンチに飾った。ちょうど一塁を守る森野将彦が故障離脱して代役を探していた折、フグ=福ということで福田の起用を決めたという嘘のようなエピソードがチーム内で囁かれている。森コーチの閃きが、思わぬ快進撃をもたらした。
※週刊ポスト2015年5月1日号