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中国でTV電波ジャックの男 懲役12年、罰金200万円の刑宣告

 中国の浙江省温州市法院(地方裁判所に相当)は4月初旬、有線テレビの電波ジャックをして、「共産党員こそ本当の罪人だ」「民主化指導者を釈放せよ」などとの政府批判のスローガンのほか、1989年6月の天安門事件当時の軍が民衆を殺害するなどの映像を流した男を「コンピュータ情報システム破壊罪」と「誣告(ぶこく)誹謗中傷罪」との2つの罪で、懲役12年、政治権利剥奪2年、罰金10万元(約200万円)の判決を下した。

 中国ではテレビの電波ジャック自体も珍しいが、これらの2つの罪名で裁かれたことが公になったのは初めてとみられる。米政府系ラジオ「ボイス・オブ・アメリカ」が報じた。

 この男は北京のIT企業勤務の40歳の技術者で、昨年8月16日、北京空港で逮捕された。

 調べによると、この男は昨年8月1日夜、約16万世帯の視聴者をもつ温州市ケーブルテレビをジャックし、「ロシアに大量の領土を献上したのに、釣魚島(尖閣諸島)、香港・台湾の主権を巻き上げようとしている」「共産党と魔界を協力させるな」などとのスローガンを流す一方、中国ではタブーになっている天安門事件やチベット仏教の僧の焼身自殺の映像などを次々に放送した。

 温州市警察当局は数十分間後に市内のテレビ放送をすべて遮断。この影響で5時間以上、市内の46万世帯でテレビ視聴が完全にできなくなった。

 中国共産党指導部は「重大な政治事件」として捜査を指示し、男が逮捕された。男は電波ジャックの動機について、「会社などに対する私的な怨みを晴らすため」としているが、なぜ温州市を狙ったかなどは明らかにされていない。

 これについて、ネット上では「温州とは遠く離れている北京に住んでいる犯人を捕まえるとは、中国共産党は24時間、ずっとインターネットを監視していることを裏付けている」や、「ボイス・オブ・アメリカは、このような事件が中国で起こっていることを知らせてくれて、われわれ中国人は感謝している」などとの書き込みがみられる。

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