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田舎の校長は地元名士 市長と同様の扱い受け勘違いする人も

 フィリピンで1万2660人を買春した横浜市立中学校の元校長・高島雄平容疑者(64)。今年1月にマニラ市内のホテルで少女にみだらな行為をし、その様子をデジタルカメラで撮影した児童買春・児童ポルノ禁止法違反容疑で4月8日に逮捕されたが、教職トップに立つ者の不祥事は後を絶たない。

 校長は会社でいえば社長である。児童・生徒や教員を管理し、範を示す立場であるはずなのに、なぜ自ら不祥事を起こし、隠蔽しようとするのか。そこには、学校という聖域の特殊性が強く関係している。
 
 若いうちから尊敬だけされ、数百人の児童・生徒と数十人の教職員を束ねる一国一城の主となった校長は、利益供与を受けることもある。
 
「一番多いのは、保護者から『あの先生を担任にしないで』『あの子と一緒のクラスにしないで』とお願いされること。タダで頼み事をする保護者は滅多にいません。それ以外にも、PTAの役員から接待を受けたり付け届けを受け取ったりというのは珍しくない」(元小学校校長)
 
 その立場は地方へ行くとますます強くなる。
 
「田舎では校長となると地元の名士です。行事に招待されて、市長や警察署長と同じ扱いを受けることもあり、勘違いをしてしまう人がいる」(元中学校校長)
 
 権力を手にする一方で、背負うものも大きくなる。長年、公立中学・高校の新任校長研修の講師を務めてきた青山学院大学名誉教授の寺谷弘壬氏が語る。
 
「子供たちを預かっている自覚のある教師は常に緊張感にさらされて、倫理観が求められているのを感じています。特に校長は地域で顔を広く知られているため、外で買い物しても飲食しても、常に監視されている緊張感があります。今回の買春事件の高島容疑者も、遠くフィリピンへ行くことでその緊張感から逃れたかったのかもしれません」
 
 捜査関係者によれば高島容疑者は「タガログ語で話すと自分の人格が変わったように思えた」と供述しているという。
 
 校長たるもの、本来なら己を律するのはもちろんのこと、部下が不祥事を起こした場合はその責任も負わねばならない立場である。それがストレスを大きくしたとしても言い訳にはならない。

※週刊ポスト2015年5月1日号

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