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金田一蓮十郎 複雑な関係性をゆるふわっと楽しく描く筆力あり

【漫画紹介】『ラララ(3)』金田一蓮十郎/スクウェア・エニックス/596円

 すれ違ってばかりのじれったい関係を描かせたら、漫画家・金田一蓮十郎は天下一品です。スパイスは刺激的な設定。ありえないよーとツッコミたくなる話のはずが、独特のユーモア溢れる語り口にいつのまにか引き込まれています。

『ラララ』は結婚をテーマにしたラブコメディーです。リストラされ彼女にフラれた主人公・桐島。ヤケになっている時に誘われ、変わり者の女医・亜衣の専業主夫として婚姻届を提出します。勢いで契約結婚した男女のおかしな関係のゆくえは!?

 そもそも結婚しろという周囲の圧力に対する最強の免罪符「バツイチ」の称号がほしくて偽装結婚した亜衣。最初から離婚がチラつく状況下で、少しずつお互いを本気で好きになる(けれどなかなかまとまらない)過程がスリリングです。母を介護する亜衣の複雑な事情を知るうちに、変人だと思っていた彼女の思考回路がわかってくるあたりの切なさもグッときます。

 本作で描かれるのは燃えるような恋ではありません。なんせ結婚というある意味ゴールから始まるマンガですから。むしろ男女がお互いを同志として認め合うまでの物語だと考えるとしっくりきます。恋愛よりも複雑で希有かもしれないこの関係性を、あくまでゆるふわっと楽しく描く筆力はやっぱりすごい!

 最新巻では理想の夫婦をめぐる考察を展開します。「いい夫は金を稼げる男でいい妻は太らない妻だそうだ」というジョークに笑いつつ、男女の役割や常識から軽やかに逸脱する主人公たちの姿がなんだか素敵でいとしいのです。

(文/横井周子)

※女性セブン2015年5月7日号

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