投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が5月25日~5月29日のドル・円相場の見通しを解説する。
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今週のドル・円は弱含みか。米国の1-3月期の国内総生産(GDP)改定値が前期比年率-0.9%へ下方修正されることが予想されており、ドル上昇を抑える要因となる。
また、4月の米耐久財受注が予想通りに悪化していた場合や5月消費者信頼感指数が低迷していた場合、米国連邦準備理事会(FRB)の4月以降の景気回復見通しが崩れることから、6月の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ観測は大きく後退する。この場合もドル・円は上げ渋る展開が予想される。
ただし、2015年度は本邦機関投資家による外貨建て資産への投資増額が計画されており、ドルが短期間で大きく下落する状況ではないとみられる。
【G-7財務相・中央銀行総裁会議】(27-29日)
ドイツのドレスデンで開催されるG-7財務相・中央銀行総裁会議では、ウクライナ問題、ギリシャ問題、そして、アジアインフラ投資銀行(AIIB)に参加した5カ国(独、仏、英、伊、加)と参加していない2カ国(米、日)の協議に注目することになる。ギリシャ問題で進展がみられた場合、やや円安に振れる可能性がある。
米国通貨当局は、財務省半期為替報告書やFOMC議事録で、ドル高への警戒感を示しているものの、ユーロ圏や日本は、量的緩和策により自国通貨安を誘導している。G-7声明で通貨安誘導に対する懸念が表明された場合、リスク回避的な円買いが広がる可能性があるので注意したい。
【日本の4月のコア消費者物価指数】(29日)
日本の4月のコア消費者物価指数は、昨年4月の消費増税の影響が無くなることで、前年比+0.2%(最高:+0.4%、最低:0.0%)と予想されている。日本銀行は、コアインフレ率は当面0%程度で推移すると表明しているものの、マイナスに転落した場合、「物価の上下双方のリスク要因を点検し必要な調整行う」(日銀)により、必要な調整としての追加緩和観測が高まり、円安・ドル高要因となる。
【米国の1-3月期国内総生産(GDP)改定値】(29日)
米国の1-3月期GDP改定値は、前期比年率-0.9%(最高:-0.2%、最低:-1.2%)と予想されており、速報値の+0.2%からの下方修正が見込まれている。1-3月期のGDPがマイナス成長に転落する要因として、豪雪などの悪天候要因と、2010-14年の第1・四半期の成長率が第2-4・四半期の平均成長率に比べて2.3%低いという季節調整要因が指摘されている。前期比年率-1.5%程度まで落ち込むとの予想もあり、市場予想を下回った場合、リスク回避のドル売りが広がる可能性がある。
5月25-29日に発表予定の主要経済指標のポイントは次の通り。