スポーツ

柔道・篠原信一にあの誤審なかったら… ジャーナリスト思う

 スポーツに関しては、「映像判定全盛期」である。審判が一旦判断したものであっても、物言いがつけば映像による判定となるケースが、様々な競技で増えている。審判の威厳は失墜し、誤審は根絶するのか。スポーツジャーナリストの生島淳氏が「誤審」の現在について語る。

 * * *
 テレビのバラエティー番組で、キレ味抜群のトークを見せる柔道家の篠原信一を見ると、ついつい見入ってしまう。
 
 現役時代から彼は言葉の宝庫だった。私の取材の中でも、「アマチュアに、引退する気がなければ引退なし」とか、「負けると思えば、なお負ける」など、リズミカルな名言をたくさん聞いてきたが、このところ磨きがかかっている。
 
 しかし、こうも思う。
 
「もし、あの『誤審』がなかったら、彼はどうなっていたか?」
 
 篠原がシドニー五輪(2000年)で金メダリストになっていたら、違った人生が待っていたかもしれない──。
 
 誤審は、アスリートの人生を左右する。「金」と「銀」では生涯収入が大きく変わる。「メダリスト」と「入賞者」でも大きな差が出る。
 
 20世紀終盤から21世紀はじめにかけてのスポーツ界の問題は、大きな誤審がよりによって、オリンピックや世界選手権といった大きな舞台で起きてしまったことだ。
 
 スポーツがワールドワイドになるにつれ、各競技はプレー面では大きく進歩したが、審判技術がそれに追いつかなかった。

「篠原の悲劇」は、柔道とは縁遠いニュージーランドの審判がオリンピック決勝の舞台に立ってしまったことにある。柔道の審判技術では、日本人が世界一だ。しかし、審判員の枠にも国や地域で割り当てがある。それは、競技と同じ。オリンピックだからといって、必ずしも最高のレフェリングが保証されているわけではなかった。

※週刊ポスト2015年6月19日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

破局した大倉忠義と広瀬アリス
《スクープ》広瀬アリスと大倉忠義が破局!2年交際も「仕事が順調すぎて」すれ違い、アリスはすでに引っ越し
女性セブン
伊藤沙莉は商店街でも顔を知られた人物だったという(写真/AFP=時事)
【芸歴20年で掴んだ朝ドラ主演】伊藤沙莉、不遇のバイト時代に都内商店街で見せていた“苦悩の表情”と、そこで覚えた“大人の味”
週刊ポスト
総理といえど有力な対立候補が立てば大きく票を減らしそうな状況(時事通信フォト)
【闇パーティー疑惑に説明ゼロ】岸田文雄・首相、選挙地盤は強固でも“有力対立候補が立てば大きく票を減らしそう”な状況
週刊ポスト
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大ヒット中の映画『4月になれば彼女は』
『四月になれば彼女は』主演の佐藤健が見せた「座長」としての覚悟 スタッフを感動させた「極寒の海でのサプライズ」
NEWSポストセブン
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
伊藤
【『虎に翼』が好発進】伊藤沙莉“父が蒸発して一家離散”からの逆転 演技レッスン未経験での“初めての現場”で遺憾なく才能を発揮
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン