プロ野球の担当記者の中には読者やファンのためではなく、球団のためにトレードやFAの情報収集に当たるものもいる。「球界は俺が動かしている」とフィクサー気取りになっているのだ。
当然、“書かない記者”が球界関係者から利用されるケースも少なくない。
「球界OBが子飼いの記者に自らの監督就任説をアドバルーン記事として書かせてファンの様子を探ることはよくある。記者はそれを“俺は食い込んでいる”と勘違いする」(球団関係者)
記者が球団の走狗になり果てるのには理由がある。球団と仲良くしていれば、自らの利益になることもあるからだ。あるスポーツ紙の元編集委員はこう嘆く。
「番記者が球団職員に転職するケースがある。ロッテや日本ハムなどが代表的で、多くは広報担当となる。記者の仕事には区切りをつけたいが、野球にはかかわりたいという者がほとんど。その場合、いかに球団と親密になるかが勝負になる」
そのため最近の記者の中には、競技の勉強や独自取材には目もくれず、球団関係者と遊ぶのが“仕事”という者もいる。そんな関係からはファンが期待する報道など生まれるはずもない。
※週刊ポスト2015年6月19日号