淡いピンクのスーツに身を包んだプリンセスの登場に、赤間神宮の参道に居合わせた参拝客の目は釘付けになった。何度も立ち止まり、ぎこちなく手を振って会釈する姿に詰めかけた人々から歓声が上がった。
6月6~7日に佳子内親王が訪れたのは山口・下関。昨年末に成人皇族となり、4月に国際基督教大学(ICU)に入学した佳子内親王にとって初めての宿泊を伴う1人での地方公務だった。
6日は「壇ノ浦の戦い」で幼くして入水した安徳天皇を祀る赤間神宮を参拝し、その後近くにある市立水族館『海響館』を訪問。100種類を超えるフグの展示などの説明を受け、対面したゴマフアザラシに「かわいいですね」と顔をほころばせる姿は女子大生らしさを感じさせた。
「ゴマフアザラシが水槽越しに佳子さまにタッチしようとした時、“キャッ”と驚かれました。予定時間を10分オーバーするほど熱心に説明に耳を傾け、非常に楽しそうでした。佳子さまのおかげで水族館の認知度がアップして嬉しい限りです」(『海響館』の石橋敏章館長)
宿泊先となったのは、天皇・皇后が3年前に山口市で行なわれた全国植樹祭に出席した際にも利用した老舗ホテル。地元では婚礼などフォーマルな場面で利用される格式高いホテルである。
「夕食は関門海峡の風景を一望できるホテルのレストランで、地元名産のフグを使った洋食のコースを召し上がった。お酒は飲まれませんでしたが、リラックスしたご様子でした。今回の公務は秋篠宮殿下や紀子さまと一緒の場合と違い、佳子さまから関係者に積極的にお声がけする姿が印象的でした。ご自身が“主役”であることを意識されているようでした」(宮内庁関係者)
翌7日は水色のスーツで、三菱重工業下関造船所で海底広域研究船「かいめい」の進水式に出席。船首をつなぎ止める綱(支綱)を斧で切断する大役を務めた。
式典後の祝賀会では、船を命名した京都市の男子小学生と対面し、中腰になって言葉を交わした。
「『小さい時から船は好きなの?』とお尋ねになっていました。少年もとても話しやすそうで、お若いのにすごいなと関心しました」(出席者のひとり)
国民と触れ合う時、同じ高さの目線に合わせて会話するスタイルは現在の天皇・皇后が始めたもの。今ではすっかり皇族の“作法”になっているが、佳子内親王もそうした教えをしっかりと受け継いでいた。
※週刊ポスト2015年6月26日号