スポーツ

なでしこ 協会が選手の海外移籍支援しリーグの集客力が低下

 今回のサッカー女子W杯の活躍もめざましいなでしこジャパン。ただ、女子サッカーには課題も多い。日本サッカー協会によると、2014年度の女子選手の登録数は全国で4万8300人で、小学生は1万9380人だが、中学生になると一気に半減して1万人となる。これは、女子サッカー部のある中学校が全国に511校しかなく、サッカー少女たちの受け皿が途端に少なくなることも影響している。

 そして、トップリーグである「なでしこリーグ」にも問題がある。澤穂希ら7人がプロ契約をし、残りの選手も運営会社社員として契約する「セミプロ」契約をするなど待遇の良いINAC神戸に有望選手が集中し、他チームとの戦力差は広がるばかりだ。

「将来を期待される選手ほど神戸入団を目指しますが、神戸では出場機会に恵まれないため、伸び悩んでしまう選手が少なくないという弊害もある。それが日本代表の世代交代を阻害している一因になっている」(女子サッカー関係者)

 W杯で優勝した2011年、なでしこリーグの観客動員数は前年の約8万人から約20万人に急増。2.5倍に伸びたが、その半数の約12万人が有名選手の多い神戸戦での動員だった。神戸への一極集中ぶりを如実に表わす数字である。だが、この時のなでしこリーグ人気は一過性で、今では優勝前の水準に逆戻りしている。

「なでしこの底上げを図ろうと、協会は海外でプレーする選手のバックアップに取り組みました。川澄奈穂美や熊谷紗希、安藤梢、宇津木瑠美、岩渕真奈などが海外に出ましたが、皮肉なことにそのこともなでしこリーグに客が集まらない原因になった」(前出・女子サッカー関係者)

「2014年スポーツマーケティング基礎調査」によれば、なでしこジャパンのファンは2012年の4074万人から2014年には2124万人とほぼ半減している。

 なでしこリーグの人気が高まらないだけでなく、なでしこジャパンの人気の陰りは、女子サッカーを志す少女たちが減っていくことにつながりかねない。

「勝ってよかった」で終わってはいけない。今回のW杯が再度の起爆剤となるか、今度こそ日本女子サッカーの正念場である。

※週刊ポスト2015年7月10日号

関連キーワード

トピックス

水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン