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女性と外国人の積極登用で企業混乱 体育会系社員の地位低下

サラリーマンの置かれた環境はこの10年で様々に変化

 今、日本企業は外国人、女性の積極登用に象徴されるように、採用、出世、給料などを含め、人事体系の常識を覆させる異変が相次いでいる。

 7月4日に『人事部はここを見ている!』(プレジデント社)を上梓したジャーナリストの溝上憲文氏が、この20年の間に大きく変化したという「会社と社員の関係」について、6つの事例を用いながらレポートする。

●外国人採用が急増中

 トヨタ自動車初の外国人女性役員が麻薬密輸容疑で逮捕されて辞任した。最近は政府の女性管理職・役員の増加養成やグローバル化を睨んだ外国人の採用が増えている。

 しかし、外国人を多数受け入れるのはよいが、トヨタ役員の麻薬ではないが、様々なリスクも孕んでいる。一つは保守的な日本人社員の反発だ。大手化学会社の人事課長は言う。

「日本で仕事を覚えてもらうために国内部門に配属するが、受け入れを拒否する部長もいる。『うちの部署は受け入れの準備ができていない』というのが理由だが、外国人が入ることで職場の雰囲気を乱されたくないという思いがある。英語ができない部長も多く外国人アレルギーが強い」

 こういう部署に入れると、いずれ摩擦が発生するのは必至だ。実際に重機メーカーの人事課長は、

「配属先の部長から『与えられた職務や決められた時間以外の仕事はしたくないと言っている。なんとかしてくれ』というクレームが入る。中には1~2年で辞める人もいる」

 と語る。しかし、欧米の企業では自分が契約した職務の範囲しか仕事をしないのは常識。日本では与えられた仕事はなんでもやるのが常識だ。

 たとえば同じ営業職でもアメリカではお金の回収はしないのに対し、日本の営業職は回収から取引先の冠婚葬祭まで何でもやっている。お互いの常識が違えば摩擦や軋轢が起こるのは必然だ。

●英語ができないと出世できない?

 出世の基準に「英語力」が必須となる日は近い。国内市場の先細りで海外に活路を見出すしかない中で楽天、ファーストリテイリングが英語を公用語化しているが、ホンダも2020年を目標に英語公用語化を打ち出した。

 楽天はいくら良い成績を上げてもTOEICの点数をクリアできなければ昇進どころか降格もあると聞く。公用語までいかなくても昇格の要件に英語力を課す企業も増えている。

 電気メーカーの人事課長は、「国内の要員を海外の生産拠点や販売部門にどんどん出している。マーケットニーズを探るには英語は必須。上司がアジア人というのは珍しくない。英語ができないと今後は出世できなくなる」と指摘する。

●女性管理職登用で割を食う男性社員

 政府の呼びかけによる女性管理職登用の裏で管理職候補の男性が悲惨な目に遭っている。精密機器メーカーの人事部長は、

「甲乙つけがたい男女の管理職候補者がいれば、女性を登用するようにと経営トップが部門長に発信している。男性優先の部署は部門長の評価にも影響する」

 と語る。住宅設備会社では「女性の割によくやっている」人が昇進し、本来なるべき男性候補者が時短勤務の女性課長の残務整理で深夜残業をしているという。

 同社の人事課長は「夫婦の社員で妻が優秀であれば、出産後は早く復帰してもらい、代わりに夫が休職して育児に専念しもらうことも考えている」と恐ろしい発言も。

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