芥川賞を受賞したお笑いコンビ・ピースの又吉直樹(35)は無類の本好きとして知られている。週に10冊は読み、これまで読んだ本は約2000冊とも語っている。
これほどの読書家がお笑いを志し、お笑いをテーマにした小説を書いた。『火花』の受賞を誰よりも喜んでいるのは、仲間である芸人たちだ。
ビートたけしは、7月18日放送の「ニュースキャスター」(TBS系)で、「お笑い芸人は何もないところからお笑い(ネタ)をつくっていく人たちばっかりなんだから」と芸人の資質が作家としての成功に繋がったと評価し、爆笑問題の太田光も、「太宰超えかっ!でも確かに『火花』は文句なしの名作!」と絶賛している。
しかし『火花』が100万部超えとはいえ、上には上がいる。芸人としてだけでなく、作家としても大先輩の島田洋七から、こんな有り難いお言葉を頂戴した。
「お笑いに学歴や学校の勉強はいらんと。でもお笑いで売れよう思ったら本読んだり努力するし、そういうことが世間に分かってもらえて嬉しかったね、おめでとう。
ただ、俺の『佐賀のがばいばあちゃん』は自伝だから、子供の頃を思い出してギャグを散りばめて書いたけど、いま思えば、『小説』っていうことにしとけば、俺も何か賞をもらえたかもしれない。惜しいことしたな(笑い)」
400万部も売れたのに、なんと強欲な!
※週刊ポスト2015年8月7日号