8月11日から3日連続となった中国政府による「人民元切り下げ」ショックで、ニューヨークダウは一時200ドル超も急落するなど世界的な株安が起きた。日経平均も一時は300円超の急落を見せた。
その急落時の個別銘柄の値動きを見ると、興味深いことに、株価を下げなかったばかりか、逆に大きな上昇を見せた銘柄が少なからずあったのだ。国内外の株式市場に精通するグローバルリンクアドバイザーズ代表の戸松信博氏が語る。
「強い値動きを見せたのは、他社にはない強み(戦略、商品開発力、圧倒的な市場シェアなど)を持ち、高い成長率と高いROE(株主資本利益率)」の両方を実現しているような銘柄です」
そうした銘柄なら「チャイナリスク」をはじめ外的要因に左右されない株価上昇が期待できるといえる。戸松氏が注目したのは「医療」関連である。
「高齢化が進む先進国はもちろん、新興国でも医療環境の整備は急務ですから、医療関連は今後も堅調な伸びが必至です。
なかでも医師向け情報サイトを提供するエムスリーは、国内の医師の8割以上を会員とし、さらに海外展開によって世界中の医師250万人以上とのネットワークを築き業績を拡大。今期予想ROEも25%と高水準です。
またカテーテル治療に不可欠な医療機器が主力の朝日インテックにも注目です。同社株は人民元切り下げショックに見舞われた3日間で9%近い上昇を見せるなど、ここにきて強い値動きが顕著となっています。まだまだ上値が望めるでしょう」
戸松氏が注目する銘柄には、海外の悪材料の影響を受けにくいジェイアイエヌ(メガネブランドJINSなどを展開)などの「内需」関連銘柄も含まれる。こうした銘柄は外的要因という“荒波”をむしろ好材料に変える強みがあるといえるだろう。
※週刊ポスト2015年9月4日号