芥川賞受賞で大ベストセラーになっているお笑いコンビ・ピースの又吉直樹の小説『火花』だが、影響を受けてしまっている人も多いようだ。大阪府に住む派遣社員の女性Sさん(35才)の夫(36才)は、印刷会社勤務の普通のサラリーマンだが、すっかり又吉に憧れてしまったのだという。
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「ピースの又吉直樹さん」とフルネームで呼ぶダンナ。彼が芥川賞を受賞して以来、『火花』を何回読んだか。これまで本なんて読まなかったのに、すごい変わりようよ。
そして、「素晴らしい文章だ。情景描写にうなったなぁ」と、同じ感想を何回も。そしてとうとう、「オレも、又吉さんを目指すことにした。ひとつ年上のオレは、男として勝負のしどきだと思う」って言い出したの。
思わず「年賀状さえ自分で書かない筆不精が?」と、喉まで出かかったけど、待てよ、と。たとえ“なんちゃって小説家”でも、休みの日、朝から夜までテレビ見ていられるより、いいじゃない? それで、「すごお~いっ。私、応援しちゃう」と、ひとまず。
ところがその週末も、次の週末も、全く小説を書いているそぶりがない。まあ、そんなもんでしょと思いながらも、「又吉さん、目指してんだよね?」と尋ねてみたわけ。
そしたら、「そうそう! やっと決まったよ。オレの幼なじみが相方やる決心がやっとついたって、ほれ」と、見せられたのが、変顔の画像メールの数々。
「今年の忘年会シーズンは忙しくなるぞぉ~」だなんて、残念すぎて、しばらく口をきく気にもならなかったわよ。
※女性セブン2015年9月17日号