「今日はずっといちにちあたまがいたかった」
「おもいだしてもわすれなみがきてまたきおくがさらわれる」
「右あしがなまりのようにしびれて すごくおもい」
2013年4月に定期接種化された子宮頸がんワクチン。2010年11月に公費助成が決まって以降、厚労省は積極的に推奨し、その結果、多くの中学生(当時)が接種した。
しかしワクチンとの因果関係が否定できない副反応の症例が報告され、詳細がわかるまで定期接種を積極的に推奨すべきではない、と2か月あまりで呼びかけは中止された。が、今も定期接種は続いている。
子宮頸がんの発症はヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスが関係することがわかっており、性交渉を行っていない女性がワクチンを接種すれば、ウイルス感染を防ぎ、子宮頸がんを予防できると予想されるが、実際のところ、その効果は証明されていない。またワクチン接種をきっかけとした慢性的な痛み、しびれ、痙攣、記憶障害などさまざまな症状が報告されており、治療法はまだよくわかっていない。そんな症状に立ち向かう6人の少女とその家族の姿を克明に記録した本が、話題になっている。
『子宮頸がんワクチン、副反応と闘う少女とその母たち』(集英社刊)の著者でノンフィクションライターの黒川祥子さんが言う。
「2013年に副反応について初めて知った時、こんなことが起きているんだと衝撃を受けました。取材を始めたのは昨年です。ワクチンを打つのはごく普通のお母さんや子供たち。この問題を広く提起できるのは医療の専門家ではなくとも、虐待を受けて傷ついた子供の取材経験がある私の役目だと思いました」(以下、「」内はすべて黒川さん)
取材を始めて、目の当たりにしたのは“副反応の現実”だった。
「北海道で出会った14才(当時)のA子さんは、今は記憶を失っては思い出し、また失うということを毎日繰り返しています。トイレでの排泄の仕方も忘れてしまうほどで、ほぼ寝たきりの生活を送っています。