国内

立川志らく 「アキバ」の呼び名は偏って聞こえもったいない

 近年、嫌~な日本語がやたらと使われている。落語家の立川志らく氏は、そのひとつとして「アキバ」を挙げる。いったいなぜなのか。

 * * *
 自分で劇団を主宰して演劇をやっていると、若い子たちの言葉が汚いのが気になる。

「超○○じゃね?」とか、「どんだけ」とか。私の演劇ではそれを逐一直していくだけではなく、「つくる」を「こしらえる」と表現してみたり、「~~な性格の人」というのを「性分」と言い換えたりする。

 映画でも芝居でも、昔のきれいな言葉をあえて使い、ドリームの世界として表現しても“現代”はじゅうぶん描けるはずと思っているからだ。

 小津安二郎の映画だって、あの時代の人があんなしゃべり方をしていたわけではなく、小津の美的感覚と世界観からあのように表現した。現代の若者言葉をそのまま使った映画や芝居の表現があるが、そのほうがリアルであるというのは錯覚ではないだろうか。

 そうかと思えば、いまの若い子が「秋葉原」を称して言う「アキバ」は、実はそちらが正解で、「あきはばら」のほうが間違っている。もともとは秋葉様といわれた江戸の火除けの神様を祀った神社があったので、「あきばっはら」と呼ばれた場所だった。それが国鉄の駅ができたときに何かの間違いで「あきはばら」とされ定着してしまった。

 本来は「あきばはら」のほうが近いのだけれど、そう言うと間違ったと思われてしまう。「あきばっはらに行ってくるよ」と言われたときには、もうどこに行くのだか全然わからない。

 ただし、いま「アキバ」と言うとアニメやアイドル、オタクの聖地としてのイメージが強すぎる。昭和の頃の電気街まではよかったが、「アキバ」では一部の娯楽に偏り過ぎてしまう。もっと多様な性格のある町なのに、もったいないと思う。品川、目黒もそうだが、現代のイメージが強すぎて昔からある土地の特徴まで消えてしまうのは寂しい。

関連キーワード

関連記事

トピックス

《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も
M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」」
女性セブン
”令和の百恵ちゃん”とも呼ばれている河合優実
『不適切にもほどがある!』河合優実は「偏差値68」「父は医師」のエリート 喫煙シーンが自然すぎた理由
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン