10月28日、京都府警に詐欺と商標法違反で逮捕された松永かなえ容疑者(26才)と同一人物とみなされる「ばびろんまつこ」なる女性。彼女が“セレブ生活”を綴ったツイートが、世間をにぎわしている。
《秋冬物のお買い物は、アイテム一つに余裕でOL1ヶ月分のお給料が飛んでいく。早速今月だけで株式会社ばびろんは何人のOLを雇ったか知れない》
《いまのシーズンだとばびろんまつこさんはサントリーニかサルデーニャ、イビサ、港区あたりにいます。もう少しするとコモ湖ですね》
高級すし店での食事や最高級ホテル、海外でのラグジュアリーなバカンスを次々とツイートする彼女の職業は、自称「ハイパーエリートニート」。いわく、高額納税をしているニートで、自己申告の年収は3000万円!
そんなセレブだったはずの彼女が詐欺事件の容疑者だという事実に、世の関心が集まった。その容疑は、カルティエの偽ブレスレットをネットオークションに出品し、約65万円で販売したという、セレブのわりに“チープな金額”。
松永容疑者は「これまで400万円を売り上げた」と自供しているが、その被害総額は1000万円以上あると、捜査関係者はみている。
キラキラ女子。それは、セレブな暮らしぶりや自分の容姿をSNSでアピールする女性の総称で、女性の羨望の的となっている。ばびろんまつこは、一般人のキラキラ女子としてはスペシャルな存在だった。事件発覚前、彼女のTwitterフォロワー数は、無名の一般人としては異例の数といえるだろう。都内の外資系OL(47才)も、騒動になる前から、ばびろんまつこの存在をチェックしていたという。
「豪華な暮らしを発信する存在として知っていました。株や運用系で儲けていると思っていたので、詐欺事件にはがっかり。年下なので憧れはないですが、同じ女性として“そういう世界の人になりたい”という心理はわかります」
静岡県の38才主婦も、「『払いたくないものは税金』と答えるなど、共感できるところがたくさんあって、素直な人だと感じていました。自分の見せ方がうまくて、頭がいい印象もありました」と語る。
マスコミ関係で働く20代女性は、「“少し身近な叶姉妹”の生活ぶりを見ているような、興味&ちょっとの憧れがあった」と、明かす。
「私と同年代なのに、妙に達観した考え方や、言葉の言い回しから、“人生悟ってます”という感じも面白かった。逮捕されたときは、キラキラした生活を守るために罪も犯すんだと、開き直った女の強さを感じました」
憧れや、好感。彼女にそんな気持ちを抱く人は少なくなかった。そうした人の多くは、もしかすると、“自分に自信がない”のかもしれないと、心理カウンセラーの塚越友子さんは指摘する。
「誰もが憧れるものを身につけることでばびろんさんの価値が上がっている。そんなちやほやされている人を好きになると、自分もなんとなく少し高まった気になる。“自分の足りない部分=自己評価が低い部分”を補うためにファンになる。対象と自分を同一視し、足りない自信を補う心理です」
また、著述家の湯山玲子さんは、「キラキラ女子から目が離せないのは、心のどこかで彼女たちを目標にしているから」と言う。
「そういう人のTwitterやブログを見て、セレブな世界の話を聞いたり、写真を見たりして、“自分もその世界に「キラキラした物」で参加できている”と思い込みたいんです。そのキラキラはお金を出せば手が届く程度のもの。女性の生き方が多様化して、仕事で成功するキャリア女性もいれば、玉の輿に乗る女性もいる。しかし、それらには努力と才能が要る。どちらにもなれない中間層が、アイデンティティーを買って、みせかけの満足に浸るんでしょう」
※女性セブン2015年12月3日号