ビジネス

世界的ホテルの潮流は客が開発費負担するフェラーリモデル

 ホテル戦争が熾烈になっている。今年は東京だけでも星野リゾートの「星のや東京」、旧赤坂プリンスホテル跡地に「ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町」が開業するだけでなく、新しいビジネスホテルも次々とオープンしている。日本の宿泊施設は、このホテル戦争をどのように乗り切るべきか、経営コンサルタントの大前研一氏が解説する。

 * * *
 現在のホテル戦争は世界的なものだ。昨年11月には「マリオット・ホテルズ」「ザ・リッツ・カールトン」などを展開するマリオット・インターナショナルが、「シェラトン」「ウェスティン」などを有するスターウッド・ホテルズ・アンド・リゾーツ・ワールドワイドを122億ドルで買収すると発表した。

 これによってマリオットは世界100か国以上で5500超のホテル、約110万室の客室を持つ世界最大のホテルチェーンになり、会員数はマリオット5400万人、スターウッド2100万人で合計7500万人に達するという。

 この買収は、他のホテルチェーンや空いている個人の部屋や家での宿泊を仲介するエアビーアンドビー(Airbnb)に対抗するためだけでなく、エクスペディアなどの巨大なホテルオンライン予約サイト対策の意味合いもあると思う。というのは、世界規模でサービスを展開しているオンライン予約サイトは、だいたい25%のマージンを抜くからだ。

 しかし、25%も儲かるホテルはまずないので、オンライン予約サイト経由のお客が増えれば増えるほど収益性が下がって経営が圧迫される。だから合併してホテル数を増やし、会員組織を拡大・充実することで、オンライン予約サイトを介さずダイレクトに集客することを目指しているのだろう。

 もうひとつの世界的なホテルの潮流は、有名チェーンが運営に徹するというビジネスモデルだ。つまり、有名チェーンは現地で有望な土地を持ち資金力のある有力者と手を組んでホテルを建設し、建物の設計図面ができた段階で客室を富裕層の投資家に売ってしまうのである。ホテルが完成する前に建設費を回収し、自分たちは客室を購入した投資家から開業後のマネージメントだけ請け負うという仕組みである。

 これは、いわば“フェラーリモデル”だ。フェラーリの限定生産車は2~3年前に予約して代金を先払いしなければならない。すなわち、開発費はすべてお客が負担しているのである。このモデルなら、ホテルの場合もブランド力のある有名チェーンは自己資金を使ってリスクを背負う必要がないので、いくらでも豪華なホテルを建設できるわけだ。

トピックス

大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大ヒット中の映画『4月になれば彼女は』
『四月になれば彼女は』主演の佐藤健が見せた「座長」としての覚悟 スタッフを感動させた「極寒の海でのサプライズ」
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
華々しい復帰を飾った石原さとみ
【俳優活動再開】石原さとみ 大学生から“肌荒れした母親”まで、映画&連ドラ復帰作で見せた“激しい振り幅”
週刊ポスト
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
死体損壊容疑で逮捕された平山容疑者(インスタグラムより)
【那須焼損2遺体】「アニキに頼まれただけ」容疑者はサッカー部キャプテンまで務めた「仲間思いで頼まれたらやる男」同級生の意外な共通認識
NEWSポストセブン
学歴詐称疑惑が再燃し、苦境に立つ小池百合子・東京都知事(写真左/時事通信フォト)
小池百合子・東京都知事、学歴詐称問題再燃も馬耳東風 国政復帰を念頭に“小池政治塾”2期生を募集し準備に余念なし
週刊ポスト
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏による名物座談会
【江本孟紀×中畑清×達川光男 順位予想やり直し座談会】「サトテル、変わってないぞ!」「筒香は巨人に欲しかった」言いたい放題の120分
週刊ポスト
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
ホワイトのロングドレスで初めて明治神宮を参拝された(4月、東京・渋谷区。写真/JMPA)
宮内庁インスタグラムがもたらす愛子さまと悠仁さまの“分断” 「いいね」の数が人気投票化、女性天皇を巡る議論に影響も
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン