人間、年をとるともの忘れがひどくなっていくもの。どうにかして忘れても大丈夫なように対処していくわけだが、その方法が重要だ。東京都に住む51才の女性Tさんは、生保会社勤務の夫(55才)と結婚20年目。その夫がとんでもない方法でもの忘れをカバーしているという。Tさんが告白する。
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ここ数年、もの忘れが激しくなった夫が編み出したのが、手の甲にメモすること。ずいぶんアナログな方法だけど、「メモ帳はダメ。メモしたことを忘れちゃう。でも手の甲に書いておけば、いやでも目につく」と言われると、納得。
私がトイレットペーパーを頼んだら手の甲に「トイレ紙」。ゴミ袋を頼むと「ゴミ袋」って大書き。たしかに「あ、忘れた」という回数は激減したわよ。でも、「最近、電車に乗ると、みんなオレのこと見て笑うんだよな」と言い出した。夜のラッシュ時、つり革につかまっているとクスクス笑われるって。
夫の手をあらためて見て、「そりゃそうだ」と噴き出したわよ。「飲み代、借りた2800円払う」だの「部長に謝る」だの、「遅刻しない」だの、さえないおっさんの暮らしが丸見え。
でもそのうち、笑いごとではすまなくなってきたの。なんと、銀行の暗証番号とか、パソコンのパスワードまで書き出したんだから。
「いや、暗証番号だなんてわかんないよ。わかったところで、どこの銀行かは…」って。その銀行名のイニシャル、4桁の数字の横にキチンと並んでるじゃない!
※女性セブン2016年3月3日号