全国大学生活協同組合連合会が今年2月に発表した調査では、「本をまったく読まない」と答えた大学生の割合が45%を超え、2004年の調査開始から最も高い数字となった。若者の本離れが問題視されているが、実は読書は「賢い子」を育てるのに最適だという。
『16万人の脳画像を見てきた脳医学者が教える「賢い子」に育てる究極のコツ』(文響社)の著者で東北大学加齢医学研究所の瀧靖之教授の所属する研究所は、脳の中身を三次元で写し出すMRI画像を16万人分も所有する。データを解析すると新たな発見があった。
「最新の脳研究により、『賢い子』を育てるには『好奇心』が重要だとわかってきたんです。そして、好奇心をしっかり伸ばすにはコツがあります」(瀧教授)
子供は見るもの、聞くもの、触れるものに興味を持ち、知識や経験として吸収していく。この時、興味を持つ対象が多いほど、子供の脳内のネットワークが刺激されて成長していき、「賢い子」が育つのだという。
そのカギとなる「好奇心」を育むのに、最も適しているのが「読書」なのだ。
「子供の好奇心を伸ばすいちばんの方法は、本を読み、その書かれていた内容を実際に体験することです。いったん好奇心を持った子供は、さまざまなことに一生懸命取り組み、自らの脳を刺激して力を伸ばしていくんです」(瀧教授)
人間の脳は自らを変化・成長させる力(「可塑性」)を持つ。好奇心を持って何かを突き詰めるほど、脳の可塑性が高まり、他の分野においても脳を成長させやすくなる。脳の可塑性は子供の頃ほど効果が高く、好奇心を持つのは年齢が早いほどいいとされる。
数ある本のなかでも瀧教授は「図鑑」をすすめる。
「文字情報だけでなく、写真やイラストも豊富な図鑑は子供の脳のさまざまな部分を刺激し、『なぜ?』『どうなっているの?』という好奇心を育みます。子供にとって未知の世界が広がる図鑑は好奇心の源となり、脳に大きな成長をもたらすのです。実際、ある調査で成長してから学校の成績が伸びた子を調べると、幼い頃から図鑑が好きだったという共通点がありました」
子供に図鑑を与えるのに適した時期もあるという。
「多くの子供は3~4才になると『好き・嫌い』を自分で判断するようになりますが、それ以前に図鑑を与えておくと自然になれ親しみ、『これ好き』という判断になりやすい。
男女問わず、3~5才のうちに図鑑を与えてほしいですね」(瀧教授)
※女性セブン2016年4月28日号