〈「女性は2人以上産むことが大切」大阪の中学校長 全校集会で〉
こんな見出しの記事が新聞各紙に躍ったのは3月中旬。「不適切な発言」であるとの批判が評論家などから相次ぎ、波紋を呼んだ。一方で、「間違った発言ではない」とする声も少なからずあった。その真意はどこにあったのか。3月末で職を退いた寺井寿男・前校長を直撃した。
──問題とされた発言について、今どう考えているか。
「人口がどんどん減っていく中で、日本がなくならないためには、女性が子供を産むしかありません。間違った発言とは思いません。
マスコミは発言の一部分だけ切り取って面白おかしく報じていました。しかし、学校のホームページで公表した発言要旨(記事末尾参照。現在はホームページからは削除)を読んだ方からは、“真っ当な発言だ”という声を多くもらっています」
〈寺井氏は1955年生まれ。立命館大学卒業後、大阪市立小学校・中学校の教員、教頭、校長を歴任。2015年3月に定年退職したが、同年4月に再任用され、大阪市の茨田北中学校校長に就任した。今回の発言は、2月29日、全校生徒が揃う最後の全校集会でのもの。匿名で大阪市教育委員会に電話があり、この発言が問題となった。市には約360件の電話が寄せられたが、うち200件が発言の趣旨に賛同するもので、残りが「配慮に欠く発言だ」といった否定的な意見だった。〉
──「女性差別にあたる」といった批判が多かった。
「私は女性を差別しているつもりはまったくありません。子供を産むことは、女性にしかできへんのです。苦労して子供を育てているお母さんを見ると、“頑張りや! とっても大事なことをしてるんやから”と声をかけます。4人ぐらい産んだお母さんになると本当に感服して、心の底から頑張って欲しいと思っています。
それに、『男子の人もよく聴いてください』と言って、子育ては女性だけのものではないとも話しました。
子育ては面白いぞ。だから手伝わなければいけない。5キロとか10キロの荷物を持ったらしんどいやろ。せやけど、女性はそれを抱えて平気で歩くんやで、と。
日本には徴兵制がないから、男には“生きるか死ぬか”の問題はない。しかし、女性は子供を産むたびに“生きるか死ぬか”を1回ずつ経験する。だから女性は尊敬すべきだし、とても価値のある経験だという話もしました。それでも私は女性差別主義者でしょうか」