安倍晋三首相が掲げる『一億総活躍社会』実現に向けて、『ニッポン一億総活躍プラン』が公表された。その中には、人手不足が深刻な保育士の賃金アップについても盛り込まれた。そうすれば、保育士のなり手が増えるだろうという狙いだ。しかし、そもそも待機児童の問題は、保育士の人手不足だけが要因ではない。
不足する保育園をつくろうにも、近隣住民が子供たちの声を「騒音」のように感じることなどから、全国で相次いで保育園の建設が中止となっている現実もある。女性セブンで特集したところ賛否両論、多くの声が寄せられた。
「誰もが昔は子供だったし、他人に迷惑をかけていたということを忘れているのでは?」「団塊世代の頃は子供の数も多かったけど、子供の声がうるさいなんて問題にもならなかった。今の人たちは神経過敏なのでは?」という声から、「確かに近所のかたにはつらいかもしれない」「住宅街と市街地でも感じ方は違う。子供の声が騒音になるか活気になるかは人による」という意見などさまざまだった。
この点に関して、厚労省の担当者は「地域のかたがたの保育に対するご理解、ご支援がないと解決しないと思います。われわれは、そういった声への対策として防音壁の補助をしています」と説明した。
しかし、「防音壁」が付け焼き刃でしかないことは、反対運動がなくならないことが何より証明している。
これらの事実は、現場の声を聞けば明らかなことばかり。耳に聞こえのいい言葉を並べ、あたかも解決への手立てを講じているかのように見せかけるばかりじゃ、「待機児童ゼロ」は、いつまでも実現しない。
※女性セブン2016年6月16日号